広く浅く

広く浅く

本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

2016年に読んだ中からおすすめする小説

今年2016年に読んだ本の中から、『これは良かった』とおすすめする小説を上げます

 

まず

ヘブンメイカー 恒川光太郎

ヘブンメイカー スタープレイヤー (2)

 

スタープレイヤーの続編でその後が描かれている

終わり方が綺麗だなぁと言う印象と

亀人間のインパク

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続いて

神さまたちの遊ぶ庭 宮下奈都

神さまたちの遊ぶ庭

2016年度本屋大賞で『羊と鋼の森』が受賞したことでも有名となりました宮下奈都さんの作品

宮下家が北海道で暮らすことになったことを綴ったエッセイ

子どもたちがとても面白いので必見です

 

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ビオレタ 寺地はるな

 

ビオレタ

 

婚約者にふられた私が出会ったのは、1軒の棺桶を売るお店でした

あんまり「棺桶を売る」ということにフォーカスを置いてはなかったけども

一人の女性が店主と周りの人との交流を通じて、精神的に成長する話

 

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伏木商店街の不思議 太田忠司

伏木商店街の不思議

商店街で起きる不思議な話を集めたショートショート

1編1編がそのまま長編の物語になってもおかしくないボリューム感の内容

 

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花舞う里 古内一絵

花舞う里

 

傷ついた少年が引っ越してきたのは、伝統芸能花祭り」が根付く町だった

少年が「花祭り」を通じて癒やされるまでを描く 

 

実在する奥三河の花祭をテーマにした作品

花祭りの主役は男の子達で、下は幼子から上は大人まで祭りを楽しむ行事

 

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捕捉

この2冊は殿堂入りということで

特に何もいいますまい

鹿の王 上橋菜穂子

鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐
 

 

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童話物語 向山貴彦

童話物語〈上〉大きなお話の始まり (幻冬舎文庫)

童話物語〈上〉大きなお話の始まり (幻冬舎文庫)

 

 

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壮大な冒険と恋愛ファンタジー(炎と茨の王女 レイ・カーソン)

炎と茨の王女 (創元推理文庫)

 

炎と茨の王女 レイ・カーソン著

シリーズ3部作の1作目

壮大な冒険と恋愛ファンタジー

 

あらすじ

オロバジェ国の第二王女エリサは、もうまもなく砂漠の国・ホヤ・ド・アレナのアレハンドロ王の王妃になる。

古代語を流暢に扱い、神に選ばれたというゴッドストーンをその身に帯びたエリサ。

アレハンドロ王はハンサムで優しく接してくれるが、何故かエリサと結婚したことを周りに気付かれないように、賓客として自国に置いた。

そればかりでなく、愛人が居る様子。

前王妃の忘れ形見、わんぱくなロサリオには懐かれたが

アレハンドロ王は一定の距離を置くばかり。

ある日愛人の侍女に、ゴッドストーンを帯びていると知られ

何者かに誘拐されてしまうが・・・

 

感想

普通なら、誘拐されてなんだかんだあっても結果的に王が助けに来て

それまで気付かなかった王女の大切さに王が謝ってハッピーエンド

といきそうなところ、本作はそうはいかない

むしろ、誘拐されてから話が動き出す

その誘拐も、人質の立場で下に置かれるのではなく

あがめられてリーダーになるべく連れてこられた

それまで知っていたゴッドストーンの知識がまだまだ知らないことだらけ

だと気付き、知識を深めようとするエリサ

また、砂漠の遊牧民・ウンベルトとの恋愛

敵情視察のドキドキ感

かつては侍女だったコスメとのぎこちない関係

そして自分が役に立つためにはどうしたらいいかというエリサの成長

520ページ盛り沢山の内容だった

 

政治的にはハッピーエンドに終わったけども

エリサ一個人の幸せには程遠い結末だった

というか、エリサだけでなくコスメにも

女の子の登場人物不幸ばっかりな気がする。主に恋愛面が

それでも前を向いてしっかり自分の足で立ってるエリサ達が凄い

 

アレハンドロ王の息子・ロサリオ

始めの登場シーンでは、子どもならではの率直さで周りを凍らせていたけども

二度目の登場シーンで、王にはわからなかったエリサの変身ぷりをひと目で見抜いた所とか

ちょっとしたスパイをエリサから頼まれて、忠実に一生懸命な所とか

アニマガスの襲撃にも、聡明さで切り抜けていく所とか

注目すべき点がいくつもあって、続きの作品にも活躍してくれることを期待する

 

いやしかし男性陣

ウンベルトは中々の好青年で、ひょっとするとひょっとするかも

なんて読みながら思っていただけにショック

アレハンドロ王も、エリサが変身してから「都合いいなぁこのひと」と思っていたけど

あの展開は予想してなかった。

 

まだ、1作目では、ゴッドストーンとはどのような扱いをすればいいのか?

といった段階なので、その辺りも引き続き続編で解明されると思いたい

つれない空蝉との攻防(源氏物語 空蝉 03 與謝野晶子訳)

源氏物語 空蝉 03 紫式部著』

源氏物語 03 空蝉

前章に引き続き空蝉と源氏の話

 

あらすじ

空蝉に相手をされず眠れない源氏は、小君に愚痴をこぼしながら

もう一度会う機会を作ってくれと頼む

ある日、紀伊守が留守にしていて女ばかりの時

空蝉と継娘が碁を打っている場面に遭遇する

姿はよく見えないがあれが自分の恋人か、と思う一方で

美人だが少々行儀の悪い継娘にも興味を覚えた

その晩、小君の手引によって、空蝉の寝ている所へと入ることが出来たが

肝心の空蝉は、源氏が来ることに気付いて逃げてしまう

てっきり空蝉が寝ているものと思い、布団をめくった時

継娘が寝ており、人違いだと言えないまま

継娘にも惹かれていたので、後々の会う約束をしたのだった

その後、空蝉が置いていった薄物を手に取り

空蝉へ、「抜け殻のように置いていった衣を抱えあなたを懐かしんでいます」と和歌を送った。

和歌を見た空蝉は、衣が着古してたものではなかっただろうかなどと心配し

源氏の想いが身に沁みた

冷静を装いながらも、独り身の時ならばどれだけよかっただろうかと

源氏からの歌の端に

「木に隠れて置く空蝉のように、人目を忍んで泣いているので袖が涙で濡れています」

と書いた

 

感想

プレイボーイっぷりが出てきた光源氏

想い人の空蝉目当てで、夜這いしたのに

人違いで継娘にも色目を使ってる

 

空蝉が独身の時ならば喜んで、源氏に答えていたのに

わかってくれない源氏

こっちはにっちもさっちもいかない立場だから

こんなに苦しんで泣いている

気持ちが分からんか!

 

そんな空蝉を想いながら、継娘にも惹かれるって

どういうこっちゃ

けしからん

 

昔の貴族たちは恋愛が遊びだったのかもしれないけども

源氏は行き過ぎた例だよね

そうと信じたい

 

それはそうと 空蝉の弟、小君

健気だねぇ

源氏と空蝉の間を行ったり来たり

二人の間も良いとは言えない関係性の中

空蝉には叱られたり、源氏には弱音や愚痴を吐かれたり

それなのに文句も言わず、仲を取り持つなんて

将来有望だね

 

青空文庫へのリンク

図書カード:源氏物語

 

 前章 帚木のあらすじと感想

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甘くないファンタジー小説(童話物語 向山貴彦)

童話物語〈上〉大きなお話の始まり (幻冬舎文庫)

 

『童話物語 向山貴彦著』のあらすじと感想

甘くないファンタジー小説

あらすじ

妖精のフィツは、人間世界で初めて出会った人間を9日間観察する

という名目を受けて人間世界に降り立った

妖精が病気をもたらす不吉な存在と言われる世界

そこで出会ったのは、ペチカという少女

親も兄弟もおらず、教会で働きながら生活している

ただ、フィツが観察しようとしても、ペチカには「呪われる」と言われ邪険にされる始末

誤解を解こうとするが、一向に相手にしてくれるどころか、「あっちへいけ」だの「死んじゃえ」だの言われ続ける

フィツの存在が周りの人間に見つかった時、ペチカもフィツも危険な目に会う

そんな時、ペチカがみせた行動とは・・・

 

感想

文庫本のあらすじには

極めて性格の悪い少女ペチカ

 と書いてあって、どんだけ性格が悪いのかと思えば

周りのすり込みと、いじめられていることの反動で悪くなった部分が大きいと思う

それに一人で生きていかなければならない環境とか『飢え』とか

現代の日本で、普通に両親も健在なら、きっとペチカも普通の女の子だった筈

多少素直じゃなくとも

 

妖精のフィツのほうは、これまた根気がいる仕事というか

重大な仕事を任せられるだけの人格があるかも

 

童話物語、とあるように

童話がキーポイントとなるのだろうけど

要は良い存在と、悪い存在の対立とか対比

この童話物語では、フィツが良い側でヴォーが悪い側?

まだ上巻しか読んでないけど現時点ではこんな感じかな

あとは、母の存在。

ペチカにとっては母が全てと言うか

幼いころに母を亡くして、それっきり独りぼっちだから

まだ母が恋しい年頃だよね

母の写真がペチカにとって何よりの宝物

 

結果的に、追い出されたような恰好になったけど

ペチカにとっては良かった

あの教会にいても得るものはなさそうだし

 

気になるのが2つ

一つは、いじめっ子のルージャン

物語において、名前のある脇役というのはそうそう居ないと思うので

おそらく下巻あたりで活躍してくれるんだろうけれども

まだ、ペチカと合流していないのでなんとも言えない

はるばるペチカを追って一人?で来ているけども

嫌い嫌いも好きの内なのでしょうか

 

あとは、おばあちゃんとロバ

目の見えないおばあちゃん

ひとつもセリフはなかったけれど

ペチカの心に大きく影響を与えた人物

初めてペチカが人の優しさに触れた人でもある

その後が気になる

 

村おこしをしようと、弱小広告会社と村民が協力する話(オロロ畑でつかまえて 荻原浩)

 

オロロ畑でつかまえて (集英社文庫)

 

オロロ畑でつかまえて 荻原浩

村おこしをしようと、弱小広告会社と村民が協力する話

 

あらすじ

牛穴村という、山の奥そのまた奥深くにひっそりと佇む村があった

主な産物は、かんぴょうやオロロ豆

民芸品のゴゼワラシなど

 

年々メンバーが減っていることに、村の青年会のメンバーは悩んでいた

今のままでは8人必要な、村の祭り・千貫みこしが担げない

このままでは村が廃れてしまうことに危機感をもったメンバーは

広告代理店に頼んで、村のイメージアップをしてもらおうとする

 

まずはメンバーのリーダー・慎一の知り合いを頼るが・・・

 

感想

この作品、シリーズ物らしく

本作が1作目

倒産間際の広告代理店ユニバーサル広告社が請け負う話である

 

タイトルの『オロロ畑でつかまえて』

ライ麦畑でつかまえて」を意識しているのだろうか否か

読み終わってみて、ライ麦の方は読んだことはないけれども、wikiであらすじを確認する限り、言わずもがな~なタイトルの付け方だなぁと思う

これライ麦読んだことある人は「おっ?!」っと思うんじゃなかろうか

 

村おこしの方法は、まぁさておき

結果的に良い方向に着地する感じで、結末はほっとした

だってねぇ やり方がやり方だけに、一歩間違えればマイナスの方にガクッと落ちそうな方法だったからねぇ

ユーモア小説と銘打っているから、それほどひどい結果にはならないんだろうけども

ひやひやする

 

ラストのオチもユーモア小説ならでは

まさかのまさか

あのよくわからない鳥が、あの有名な鳥!?みたいな

 

村おこしに知らないうちに協力させられた人の、意外な副産物

も驚き

 

赤川次郎さん好きな人は、多分好きな小説かもしれない

 

ちなみに

荻原浩さん、この作品がデビュー作

で、渡辺謙さん主演の「明日の記憶」原作者だそうな

知らなかった 

 

べっぴんさんの松下優也くんについて

松下優也くんの演技

いやはや

普段は歌ってるところしか見たことなく

クールなイメージの松下優也くんですが

役どころを上手く演じているなぁ という印象です

血の気の多い、けど純情な感じが出てると思います

 

というか

私のはじめの印象では

松下くんはちょい役になるのではないだろうかと思っていたのですが

どうやらなかなか出演頻度が高いじゃあ~りませんか

期待をいい意味で裏切ってくれて、嬉しいあまりです

 

ちなみに

松下優也くんは、現在ソロ活動休止(泣)

X4 OFFICIAL WEBSITE X4として活動されているようです

過去にはアニメ「黒執事」のセバスチャン役で舞台にも出演

歌の方はアニメ「デュラララ!!」のED「Trust Me」が有名かと

 

 

肝心の「べっぴんさん」のあらすじですが

 会社経営をする家に生まれた主人公・すみれが、戦後を生き抜き、生きていくために子ども服を作りながら仲間と協力し合う物語

 

当時にしては珍しい、洋装が普段着のお嬢様が

戦争で、夫が帰らず、貯金も下ろせない状況で

なんとか子どもを育てていかなければならないために

自分の得意な裁縫で、女学校時代の『手芸倶楽部』の友達を誘い

幼いころ刺繍が上手くなりたい一心で、訪れた靴屋の「あさや」で

子ども服専門店を開くお話

 

現時点ではそんな感じ

 

モデルが、ファミリア創業者の坂野 惇子ばんの あつこさん

らしいです

 

 リンクとか

 

NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上

NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上

 

 

www.nhk.or.jp

 

松下 優也 オフィシャルサイト

familiar ファミリア 公式サイト

男たちの恋バナ(源氏物語 帚木 02 與謝野晶子訳)

青空文庫 源氏物語 帚木 02 紫式部 與謝野晶子訳

あらすじ

源氏と仲の良い頭中将とうのちゅうじょうが、源氏に宛てられた女性の手紙を読んでいると

左馬頭さまのかみ藤式部丞とうしきぶのじょうがやってきた

手紙を読んだ流れから、どんな女性が良いかという話題になり

それぞれの恋愛話に移る

家柄がよくても、性格がよくなかったり

性格が良くても、家柄がよくなかったりするので

左馬頭は「まじめで素直な人を妻にするべき」だという

 そんな左馬頭は過去、容姿は悪いが何かと気がつく妻がいた。だが、その人一筋とは考えておらず、他にも恋人がいた。そのせいで妻は嫉妬し、その嫉妬が煩わしい左馬頭は「嫉妬さえしなければ、良い夫でいるのになんで黙っててくれない」と言った。妻は「我慢しさえすればいいとおっしゃるなら、別れるまでです」と言って家を出ていった。左馬頭はどうせ別れられるはずもないと、手紙もよこさず家にも帰らず好き勝手していた。ある日、家へ戻るとまるで自分を待っていたかのように、着物も温めて寝る準備もしてあったので、妻がいるだろうと期待していると妻はいなかった。それどころか「一夫一婦にならない限り戻らない」と言う。そう言われても左馬頭は断固として譲らずいると、妻は精神的にまいって亡くなってしまう。

今思えば、仕事のことも話せたし、家庭のこともきちんと成し遂げていた妻が恋しそうであった。

 

 次に頭中将の話

それほど長い関係になる予定もなかったが、馴れると惹かれ、たまにしか通わないが女の方も自分を信頼するようになった。

極たまにしか通わないのに、それについて文句も言わず穏やかな人だった。そのことについて中将の家のものに嫌味を言われて、中将自身も通わず手紙もよこさずいると歌をおくってきた。「時々には情けをかけて下さいな。この撫子の花(我が子)の上に」と

いざ会ってみると、特に恨みもせず穏やかに接してくれるので安心して帰った。が、しばらく通わずにいると消えてなくなってしまった。

 

源氏はその話に加わろうともせず話を聞くだけで、藤壺の宮に思いを馳せていた。

左大臣の家に帰って休もうとするが、中神の通り路になっていて駄目だと言われ

家従の紀伊きいのかみの家に泊まることとなる。

紀伊守の家には父親の伊予守いよのかみの後妻で紀伊守の妹がおり、先だって話題になってた娘に会いたい思いだった。

その夜中々寝付けない源氏は、娘の居る場所を探って、冷ややかな応対をされるも構わず口説き一夜を明かした。

 

感想

与謝野晶子訳は和歌の解説があんまりないので、少し残念。

和歌の意味を知ろうとしたら、瀬戸内寂聴訳とかを読んだほうがいいのかもしれない。

 

この話は、梅雨の頃また五月雨が降っていた時の話からか

『雨夜の品定め』とも言われているそうな

いわゆる、男たちの恋バナだろうか

あぁでもないこうでもないと

自分たちのことはさておき、女性のことについて花が咲くのは

いつの時代も変わらないのかもしれない

 

肝心の光源氏だが

初めての相手なのにいきなり人妻選んじゃう所が凄い

『自分が人妻じゃないときに出会っていたなら、答えられたかもしれないけども、今はもう駄目です。』

と言って断られているのにも関わらず

泣きながら、『今後どうやってあなたと文をやり取りすればいいのだろうか。今夜のことだけをいつまでも思いながら泣けばいいのか』と答えてしまう。

その後も、娘の弟を使って手紙を送って返事を貰おうとする

女の方はなんとしても返事はよこさない考えで、しまいには居場所も別のところへ移動してしまう。

 

ところで、この題名の「帚木」ははきぎ

だけども、最後の歌にしか出てこない

意味は

近づいても逢ってくれない人、逢えそうで逢えない人の喩え  wikiより

 だそうな

なるほど、女の人を例えた名前だね

桐壺もそうだったけど、通称みたいな感じかな

 

 

源氏物語 02 帚木

源氏物語 02 帚木

 

 

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