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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

仲間を救う(黄昏の岸 暁の天 十二国記 8 小野不由美)

黄昏の岸 暁の天 十二国記 8 小野不由美

黄昏の岸 暁の天(そら)〈上〉―十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)

あらすじ

戴国の王が登極してから半年という速さで朝廷を整えた驍宗。思い入れのある州で反乱が起き、鎮圧に向かったまま行方がわからなくなる。それと同時期に戴国の麒麟泰麒も蝕によってどこかに流されてしまう。

戴国の王と麒麟不在の中、朝廷は混乱に陥ろうとしていた。が、将軍・阿選(あせん)が王が亡くなった証である白雉の足を持って王宮に来て、偽朝をたてたのだった。

だが、同じ将軍の李斎は阿選が白雉の足を無理やり切って持参したことを、白雉の管理者である官吏から密告を受けていた。それを知ってなんとか阿選の企みを防ごうと仲間を集めて攻撃しようとしたが何故か上手く行かず八方塞がりになってしまう。しかも李斎は王と泰麒を殺した反逆罪に問われていた。

そして追い詰められた李斎は、隣国慶国景王に助けを求めるべく景王の元へと単身乗り込む。

満身創痍で王宮に現れた李斎。怪しまれる中、大僕の虎嘯(こしょう)の計らいで景王に謁見出来るようになった李斎。だが傷口が酷く、戴国を救って欲しいこと泰麒が居なくなったこと、白雉は自分から落ちたのではないことを告げると意識を失ったのだった。

言付かった景王陽子は、他人事とは思えず助けたかった。例え慶国がそんな余裕など無くても。それで、隣国の知り合い延国延王に助けを求める。それは12国全ての麒麟の力を貸してもらうというもの。王は天の理があり他国に介入してはならない。もしそれを破ると死が待っている。それもただ死ぬのではなかった。

延王の助力のおかげで、恭・範・才・漣・奏の5国が力を貸してくれることになった。

ひとまず泰麒を探すことになり、日本を探すことになった範・漣・延。果たして泰麒は見つかるのか・・・

 

感想 

シリーズ0巻・魔性の子のこちら側での動きがわかる内容となっている。(魔性の子の記事はこちら)

にしてもだ、天のことわりとはなかなか厳しい。例え隣国を助けるためであっても、王が隣国を不用意に訪れてはならないなんて。それも知らされぬまま、王が死んではじめて理由がわかるだなんて残酷だ。でも、そこまでしたら、領土の争いは起きようもないから隣国同士の争いが無くなるのだね。

今回、陽子たちは天に一番近い碧霞玄君にお伺いを立てつつ、抜け道を探して隣国戴国の麒麟を助けに行こうとする。ただ、戴国にはだれも入っておらず、蓬莱・日本を捜索するために諸国の力を借りることになった。そこには各国の宝を使った連携プレイがあって、一人の麒麟の為に他の麒麟が助けるという仲間意識みたいなのを感じた。

角を折られた泰麒と、利き腕の右腕を失った李斎。ふたりが戴国へ帰ろうとする場面は、まるで死にに行くようで引き止めたかった。でも慶国に居ても戴国は救えない。だからと言って手負いのふたりで出来ることってなんだろう。ものすごく不安なまま、でも成長して大人になった泰麒がたくましくなったことが唯一の希望。

今年、2019年十二国記の新刊が発売予定です。その巻は戴国の話だとか。泰麒と李斎のその後がとても気になります。

 

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