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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

立派になった泰麒(白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 9 小野 不由美)

白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 9 小野 不由美

白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫)

泰麒、大人になったなぁ しみじみ

 

18年ぶりなんですね、新刊が発売されるのって

18年なんて赤ちゃんが高校生卒業までじゃないですか

途方も長い時間ですね

そんな時を経ての新刊

 

前作、「黄昏の岸 暁の天」で李斎が隣国である慶国へ泰麒を救ってほしいと頼みに来て

蓬莱から戻った泰麒と李斎が旅立つシーンで終わりを告げました

そして今作では旅立った後の話が描かれます

 

何者かに追われていた李斎と泰麒を救ったのは、暗器の使い手・項梁(こうりょう)

だが、泰麒が追っ手の去思(きょし)に人質になってしまう

剣先を向けられた泰麒に思わず李斎が、そのかたは泰麒だと告げる

そして項梁が李斎を将軍だと見抜いたところで、去思は瑞雲観(ずいうんかん)の生き残りであり泰麒らを待っていたと言う

 

泰麒と李斎は行方の分からなくなった戴国王・驍宗を探していた

その途中で去思や項梁に出会い、瑞雲観の援助を受けてさらに旅を進める

途中、神農の鄷都(ほうと)が案内役に加わる


今作は4巻刊行予定で、1・2巻は既に刊行しており3・4巻が11月9日刊行予定です

ですので話の内容もおそらくまだ4分の1程度しか進んでないはず

よって1巻の内容はまだ導入部分、説明的な事項が多いです

ですが、あやしげな歌を歌う寝込んでいると思われる男性と子供の挿絵があったり
その歌が再び登場したりと、これはなんだろうかと疑問に思ったり、期待したりする場面もあります

 

そして行方が分からなくなっている驍宗ですが、6年間音沙汰ないそうです

その間何の連絡もできないでいるとなると、よっぽど重症な怪我をしたのか、はたまた記憶喪失にでもなったか

なんて想像してしまいます

 

早く驍宗が見つかって、悲惨な戴の現状をなんとかして欲しいですし

阿選も元はそれほど悪いやつって程でもなかったのに、どうして驍宗を貶めるようなことをしたのか疑問です

それを知るのはまだ後になりそうですが、続く下巻が楽しみです


ここからネタバレ

 

泰麒が阿選の居る白圭宮へ向かい、民を救おうと李斎らの元を離れる
この決断

大人になったなぁって立派になったなぁって思いました

ただ、震えている子どもでもなく、ただ李斎らに着いていくのでもなく

自ら考え、下した決断

それは驍宗を探すよりも、一刻も早く白圭宮へ向かい、自らの州侯としての立場を活かして民を救う

そのための決断でした

だから李斎には黙って宿を出た

止められると分かっていたから

 

角も失い、王の覇気も分からず、角がないため転変も出来ない

身を守るための使令もいない

そんな中出来ることを模索したんでしょうか

確か蓬莱で過ごしてもう高校生くらいにはなってましたよね

幼い泰麒の印象しかなかったから、その成長を感じました

 

文州中央部で、風邪をひいた主人と子どもが出てくるシーン

かなり怪しいと思います、この主人が驍宗ではないでしょうか

6年前に満身創痍で現れて、この子供の父親を救ったあと子どもを世話してると書かれてました

年代もぴったりですし、なんにせよ挿絵があるあたりが更に怪しい

重要な登場人物なんじゃないだろうかと勘ぐるのは致し方ないと思います

早く李斎が見つけてくれるといいですが・・・

風邪で寝込んでいるだけで身体が元気なら、何故便りを寄越さないのでしょう

謎が残ります

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