豆腐屋を江戸で営むこととなった男の一代記
かと思いきや、母の愛情物語でもあった(あかね空 山本一力)
あらすじ
京都で修行を積んだ永吉が店を構えようとやってきたのは江戸だった
なかなか受け入れられることのなかった、京の豆腐屋
しかし、妻の機転のおかげでなんとか軌道に乗ることが出来た
子供も生まれ、順風満帆に思えたある日
長男があやまって怪我をしてしまう
まだ赤ん坊の身、助かるかどうかは分からない
母親のおふみは富岡八幡宮に願掛けをしに行く
そのおかげもあってか、長男栄太郎は一命を取り留めたが
おふみはその日を境に、栄太郎をわにかけて可愛がるようになった
豆腐屋永吉とその子供二代に渡る、人情話
感想
第126回直木賞受賞作品
長い。全編で399ページ
普通の時代小説ならもっと短い印象があるのに、およそ400ページに渡る
それを一気に集中して読んでしまわせる文筆
普通なら、永吉とおふみが結婚して、豆腐屋も繁盛して終わり。となりそうな所
読み終わってみて、印象的だったのが
おふみの生き方だった
最後まで願掛けした通りに行動して、子どもたちを守りぬいたその心情
不運が重なって、自分の責任だと感じてしまった所
自分の子供が可愛くないなんて、ないよなぁ
でも、こうやって物語の中だからこそ盛大なネタバレが出来るのであって
普通に暮らしてたら、誰も「あの人はこうこうこうだったからああいう行動をしてたんだよ」なんて説明してくれない
だから話し合いが大事なんだ、とかコミュニケーションが~とか言うんだろう
解説でも触れていたが
真の主人公は母親であるおふみかもしれない