冷静と情熱のあいだ Rosso 江國香織
あらすじ
優しくて愛してくれる恋人・マーヴがいながら、どこか満ち足りない日々を送る葵
ジュエリー店で売り子をしていた時に、マーヴが客としてやってきて食事の誘いを断り続ける理由もなく、デートも楽しんだ。
それからしばらくして2人は一緒に住むようになる。
雨の度に体調が悪くなる葵に、マーヴは10分の距離なのに車で迎えに来てくれる。
幼馴染のダニエラと時折会ってしゃべったり、マーヴとダニエラのボーイフレンド・ルカと一緒に映画を観たり充実した日々。
だが、時折、思い出すのだ、19歳の頃のこと。順正のことを。
感想
わかる。
優しくて愛してくれて甘やかしてくれる、そんな完璧な恋人が居ても昔の恋人を忘れられないこと。
マーヴには自分の心の内側を決して見せることができなかったが、順正にはなんでも話せていたこと。
完璧だから愛せるのではないのだ。優しいから、甘やかしてくれるからなんて、忘れられない恋の前には歯が立たない。
だけども、順正にも新しい生活があった。それを話してくれたのは、葵が幸せに暮らしていて、愛されている恋人が居たからかもしれない。その葵を思いやって自分も満たされた生活があるんだと、そう葵にみせたのかも知れない。
冷静と情熱のあいだは江國香織さんと辻仁成さんが女性目線と男性目線で書いた本だと聞く。男性目線ということは順正の目線からだと思う。
読み終わった直後は順正の目線からは読みたくないと思った。なぜなら2人の再会したその後が別れる形になると知ってしまったからかも知れない。
完璧な恋人マーヴと別れて、ひとり生活し、10年前の約束を胸にフィレンツェのドゥオモに行く葵。
だからこそ、そこで順正と一緒になって欲しかった。葵を幸せにできるとしたら順正だけだと思ったから。でも結局葵は順正とも別れた。って所でRossoは終わる。
非常に悲しい。泣きたかった。
上手くいかないもんだなぁ・・・
マチネの終わりににもこんな感じだった
でも良かった。おすすめの作品です。