広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

アドラー心理学の幸せとは愛である(幸せになる勇気 岸見一郎)

幸せになる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教えII

幸せになる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教えII 岸見一郎 古賀史健

アドラー心理学、「嫌われる勇気」続編。哲人と青年の対話式でまとめた

 

アドラー曰く、幸せになるためには愛することが不可欠で愛することにより、自分が存在するだけで貢献し合えることに気づき、愛する人と自分たちだけでなく、人類すべての人々をもひっくるめた感覚にたどり着くことが出来る。ということ。

抜粋するのならば

われわれは他者を愛することによってのみ、自己中心性から解放されます。他者を愛することによってのみ、自立を成しえます。そして他者を愛することによってのみ、共同体感覚にたどりつくのです。

 

青年は大学図書館に勤務していたが、志を決意し教育者となった

アドラーの心理学を学びそれを教育の現場で実践しようと邁進してきた

だが、それは幻想だったと気づく

アドラーの心理学は理想を追い求めすぎていて、現場の実情をはらんでいない

全くの使い物にならないものだと

そのため青年は、教育者として指導してきた意欲をなくしていた

アドラーの心理学を教えた哲人に怒りを感じていた

アドラーは褒めることもよしとせず、叱ることもまたよしとしていなかった

そのため、青年は褒めることも叱ることもせず忠実に教えを守ってきた

だが、その結果何をしても叱られることがないと子どもたちは自由奔放になり学級が崩壊していった

 

自立

切々と訴える青年に

まず哲人はアドラーの心理学の掲げる目標を尋ねる

行動面の目標として

①自立すること

②社会と調和して暮らせること

行動面を支える心理面の目標

①わたしには能力がある、という意識

②人々はわたしの仲間である、という意識

そして青年は気づく、教育現場にもこの4つが大切であると

 

まず、自立するためには何が必要か

それは「尊敬」であると哲人は言います

具体的にどんなことかというと、エーリッヒ・フロムの言葉を引用して説明した

尊敬とは、人間の姿をありのままに見て、その人が唯一無二の存在であることを知る能力のことである

また尊敬とは、その人が、その人らしく成長発展していけるよう、気づかうことである

 

ようするにその人を、まるごとありのままに受け入れることだと哲人は言う

そして、人は尊敬と愛は強要しえないものだと

いくら、自分を尊敬しろだの、私を愛してだの言ったところで愛されたり、尊敬されたりすることはないのだと

お互いの関係の中で尊敬が存在しない、青年のような崩壊した学級では恐怖によって鎮静されているだけだ

 

共同体感覚

尊敬は強要出来ないと言った哲人に、まず尊敬しなさいと言われた青年は反発します

なにもない私の尊敬はどこから来るのかと

すると哲人は共同体感覚という言葉を持ち出します

他者への関心である共同体感覚を持ちなさいと

他者の目で見て、他者の耳で聞き、他者の心で感じること

子どもたちの関心事は下劣で醜悪でとても関心など持てないという青年

 

変われない青年に「人間は、いつでも自己を決定できる存在である」という哲人。

いつでも自分を変化させることができて、自分も変わりたいという気持ちを持ちながら変えられないのは

自分が変わりたくないからだと青年は気づきます

変化することは「死そのもの」であると言い、いかに変化することが容易でないかを哲人は語ります

 

過去

そして、今の自分を肯定するとするならば、過去をどのようにとらえるか?

そう、「いま」を肯定するために、不幸だった「過去」をも肯定する

だが、青年は過去を認めようとしません

それは今の自分に満足してないからだと哲人は言います

そして過去など存在しないのだと

不幸な過去をトラウマとしているのは

その不幸に彩られた過去を、自らが必要としているのだと哲人は言います

必要とすることで今のつらさを忘れようとしている

そして哲人は続けていいます

人間の可能性を信じるからこそ、悲劇に酔うことを否定している

 

カウンセリングをするとき、用いる三角柱を哲人は青年に見せます

一面には悪いあの人、もう一面にはかわいそうな私

この2面を語る時それは、本質の解決には繋がらない

もう一面にかかれていることが重要なのだと

それはこれからどうするか

2面を語り、同調や慰めを得ても、依存するだけで何の解決にもならない
だからこれからどうするかを話し合うのです

現実にカウンセリングに訪れる人の多くは、これからどうするかを選ぶと哲人は言います

 

===

実に長い道のりです

説明するとなるとこれほど難しいのは小説ではないから

いや、物語の形式を取っていると言っても、どこを省いていいのか正直迷います

それでこんなに多くを記述してしまいました

読んでくださいというのが一番手っ取り早いw

 

最後に紹介した、これからどうするか、目からウロコでした

確かに、過去を慰めてもらったり同調してもらったりしても、今の自分の力にはなれず

同調してもらうことによって、心は癒やされますが、これからどうするかが重要です

 

そして肝心の幸せになる勇気は、愛することだそう

愛されることのほうが簡単だと

愛することのほうが難しいのだと言います

逆だと思ってました

さらに幸福なる人生を手に入れるため、「わたし」は消えてなくなるべき

「わたしたち」が主語になって、私だけの幸福でもなく、あなただけの幸せでもなく、二人の幸せがなくてはならない

そうですよ

確かに、献身的愛も利己的な愛でもなく、二人で一緒に幸せになるそれが続くことが幸福

難しそうですね。でもそれが真理なんでしょう

 

長々と語ってしまいましたが
おすすめです

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