徴産制 田中兆子
あらすじ
2092年、18歳以上31歳未満の男子に施行された
2年間女になる義務が課せられる制度、「徴産制」
妊娠出産は義務ではなく、自由
生まれた子も国が引き取ってもらえる
徴産制に参加すると国から一時金も出る
反対派のデモもある中、5人の徴産制へ参加した男たちの話が短編で語られる
感想
それぞれ立場も違う男たちを主人公として、それぞれの絡みはない
そもそも「徴産制(ちょうさんせい)」が施行されたのは
スミダインフルエンザという女性に蔓延したインフルエンザである
特に若い女性での死亡率が高く
一気にその年代の8割の命が奪われてしまったことにある
その後、女性が独り歩きするにはボディーガードが要るほどの
犯罪にまきこまれたりする確率が高くなった世の中になり
通りを歩く女性の姿がめっきり減ってしまった
その一方で、性転換が複雑な手術を行わなくても、可逆的に性別を変えることが出来るようになる技術が開発され
政府が考え出したのが、徴産制であった
農業・政府・犯罪・夫婦・性癖
様々な立場の男性から綴られる徴産制の実態
この先、どんな事が起こるかは誰にも想像出来ないが
もし、こういうことが起こった時どうなるだろう
というのがわかるのが小説のいいところであろう