源氏物語 朝顔 20 角田光代訳
あらすじ
朝顔の姫君に恋をしている光君
父親である式部卿宮が亡くなり喪に服すため斎院を退下した、朝顔の姫君。
光君はいったん恋をしたら忘れないので、彼女にもお見舞いの便りを幾度も送っている。だが、かつて困ったことになったのを覚えているので気を許したような返事もしない。光君はなんとつまらないことだろうと思っている。
9月になり、姫君が実家である桃園の邸に移ったと光君は耳にした。桃園の邸には光君の叔母が住んでいるので、叔母に会うという口実で桃園に向かう。
叔母とつかの間の話をして、姫君に会いに行く。御簾の外からしか話そうとしない姫君に光君は不満げである。
須磨に下った頃の辛い事件のことを姫君と共有したい光君であったが、ちらっとでも聞けば誓いに背くと神が戒めるでしょうと、取り合ってくれない。
すっかり恋をしてやつれた私を、そのように扱って貰いたかったのにと言い残すと光君は立ち去っていった。
翌日、すっかり色あせた朝顔を見て、昔お目に掛かった時のことを忘れられない朝顔ーあなたのうつくしさの盛りは過ぎてしまったのでしょうか。長年思いを募らせる私をかわいそうだとは、おわかりにならないのでしょうかと手紙を送った。
秋も終わり、霧のかかった垣根にまとわりついて、あるかなきかに色あせた朝顔、それが今の私でございます。と返事した。
こうして返事をくれないわけでもなく、続いているのであきらめきれない光君。
そうした様子を目にした紫の上は、気が気ではないが顔色にも出さない。
また、叔母のところに行ってくるよと、本心を話さないので紫の上は釣れない態度を取る。
そして、叔母に面会後姫君に会った光君はひどく真剣に話しかける。
「いっそのこと嫌いだと一言人づてではなく言ってくれたら、諦めます。」と
難からず思っている姫君は、年を重ねて不釣り合いだと思うが、その一言なんてとんでもなく言えないと黙り込んでしまう。
その姫君の態度に、あまりにも薄情だと思いそれでも取り次ぎの返事はしてくるのだから、光君はじりじりとした気持ちになっていた。
今さらどうして私の気持ちを変えることがあるでしょう。女はよく心変わりをすると聞きますけれど。とつれない態度を取る。姫君。
恋が実らず去っていく光君であった。
感想
新たな恋人ですね、と思ったら箒木と葵に登場していました。どちらもちらっとしか名前が上がったくらいですが、その頃から光君は朝顔の姫君に手紙を送ってました。
でも世間に漏れ聞く光君の噂や、六条御息所の噂を聞いて、つれなくしています。
最終的に、心は変わらないと、ふって光君は恨み寸前でした。
そんな光君の様子をみていた紫の上の気持ちも推し量るべしです。
光君の夢に藤壺が出てきて驚いたり。冷泉帝の出生が知れたことを恨まれて。光君のせいではなく、藤壺が祈祷を願っていた僧の仕業なんだけれども。
僅かな逢瀬で、極楽浄土では同じ蓮華に座れますようになんて願ってるし。誰が本命なのやらと言ったら、やはり思い入れが一番ある藤壺なんだろうか。