広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

六条御息所の死と明石の君に姫君誕生(源氏物語 澪標 14 角田光代訳)

源氏物語 澪標 14 角田光代

源氏物語 上 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集04)

あらすじ

弘徽殿大后はなおも病気が重くなっていた。ついに光君を追いやってしまうことが出来なくなったと思い詰めていたけど、朱雀帝は桐壺帝の遺言を気にかけていたが、京へと呼び戻したことで安心していた。

朱雀帝は体調のこともあり、いよいよ退位しようと考えていた。

朧月夜に「大君の病気も悪くなる一方だし、私の命もそう長くないように思う。あなたは光君より私を軽く見ているけれども、私のほうはだれにも負けない思いを持ち続けていて、ただただあなたのことをいとしく思っているのだ。私より勝るあのお方が、もし望み通りあなたの世話をすることとなっても、私が本気であなたを思う気持ちにかなうはずもない。そうおもうと辛いのだ」と帝は泣く。朧月夜が顔を赤くし、こぼれるばかりの魅力的な姿で涙をこぼすのを、帝はなんとかわいらしいのだろうと見つめてしまう。

また、なぜ自分との間に子が生まれなかったのだろう、きっとあの方となら子が生まれただろうに、でもそうなると臣下として育てねばならないよ。と先々のことを考えて話すので、朧月夜は恥ずかしくも感じ悲しくもある。

翌年の2月、東宮元服の儀式があった。年齢の割には大きく、また光君にそっくりだった。

2月の20日過ぎ、譲位がにわかに行われ冷泉帝が帝になった。

光君は内大臣となり、左大臣だった義父は太政大臣となった。

頭の中将は権中納言となり、娘が12歳になり入内させようと大切に育てている。

明石の君どうしているだろうと使者を送ると、無事に女子を安産で生んでいたと報告を受ける。珍しい女の子の出産でなんで立ち会わなかったのだろうと、喜んでいる。

占い師に、子供は3人。帝、后となるお子が生まれ、あと一人も太政大臣となるでしょうと。予言されていた。ことのひとつひとつが当たっていくようだと光君は思っていた。

明石の君に生まれた女の子。あんな田舎ではきちんとした乳母もめったにいないだろうと、自身で世話をしてやることにした。桐壺帝に使えていた宣旨の娘である。

明石の入道は光君の気遣いを喜んでいた。

そうして、光君は明石の君との間にできた娘を早く見たいと思っていた。その気持を紫の君へにも他から聞いてしまってはいけないと思い自分から伝えた。思わず嫉妬する紫の君だったが、明石の君がどういう人だったのかを告げるが、嫉妬は止まない。そんな姿も魅力的に映ってしまうのだった。

 

いずれは明石の君も二条に呼び寄せようと、二条の住まいを整える光君。

そうこうしている間に、六条御息所が亡くなってしまう。娘の前斎宮のお世話を頼まれた光君。くれぐれもちょっかいを出して私のようにしないでくれと頼まれて、気を引き締める光君。朱雀院が前斎宮のことを気にしている様子だったため困った光君は藤壺に相談。朱雀院のことは聞かなかったことにして、冷泉帝に入内させることにした。

 

感想

六条御息所が亡くなってしまいました。そして自分の娘について光君に釘を刺す場面はなんだか、不謹慎ながら光君信用されてないなぁなんて思ってしまい。笑ってしまった。

 

澪標と第されたのは、光君と明石の君の手紙のやり取りのシーン。

住吉大社に偶然にも同じ日に参拝した2人。出会うことなくすれ違いますが、事情を知っていた光君の家来がそっと告げる。

そこで歌のやり取りをする。

その歌が上手い。みをつくしてあなたに恋をしているから澪標のあるこの難波でこうしてめぐり会ったのです。あなたとの宿縁は深いですね。

なんて上手い歌なんだろう。韻?を踏んでる?気がする。

 

朱雀院の朧月夜への気持ちがなんとも言えない。

せつなくて、でも朧月夜への気持ちは変わらない。欲しい人の間には子は生まれないのは光君も同じ。どういう定めなのやら。

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