広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

朧月夜との仲がバレて須磨へ(源氏物語 須磨 12 角田光代訳)

源氏物語 須磨 12 角田光代

源氏物語 上 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集04)

あらすじ

朧月夜との仲が露呈し、光君にとってわずらわしいものとなっていた。

そこでしばらく京を離れることを決意。かつて在原行平が住んで歌を残した須磨に移り住むことにする。

花散里、藤壺、そして事の発端となった朧月夜にも心をこめた手紙を送り別れを告げた。

出立の2、3日前には左大臣の邸に赴き若君との別れを惜しんだ。

妻となった紫の君と最後の晩を過ごし、心のこもった話をした。

花散里とは手紙をかわしていたが、もう一度逢っておかねば薄情とも思え逢いに行った。逢いに来るとは思ってなかった花散里と、光君は月を見上げ話をし合った。

須磨への出立は、ごくわずかな家臣と必要最低限のものだけ持ち質素にした。

そして出立前に桐壺帝のお墓に参拝し、その前に藤壺にも逢いに寄った。

いよいよ出立の日、お供に5.6人だけ、下仕えにも気心の知れたものだけを連れて馬で出かけた。その中に賀茂の祭りの際随身として仕えた蔵人が、官位を剥奪されてしまい、世間体も悪いのでということで光君にお供した。

光君が須磨にやって来てしばらくは色んな人から手紙があったが、宮中で弘徽殿大后が、手紙を送るようなことを悪くいい皆送らなくなってしまう。

しばらく経った頃、頭の中将が須磨を訪れる。もし自分が須磨に行ったことに対して罪をかぶってもかまいやしないと来てくれたのだった。久しぶりの友との歓談に喜ぶ光君だったが、やはり気にはしないと言っても気なるとの雰囲気がして、頭の中将は急いで帰ろうとしていた。が光君と贈り物のやり取りをして、去り難く帰っていった。

 

感想

賢木で弘徽殿大后に朧月夜との逢瀬がばれた、ことがこんなに大ごとになってしまいました。

それでも朧月夜に手紙だけは送っている光君。バレないように工夫はしてますが。

弘徽殿大后、怖い怖い。手紙を送ってちゃらちゃらしてると非難してるし。

 

後は朱雀帝の朧月夜の会話。

・私も光君が居なくなってさみしいよ

・私が亡くなっても、光君ほど思ってはくれないだろうね。くやしいよ。

・恋しい人と暮らさなければなんの意味もないと(古今)読んだ朱雀帝に対して、朧月夜が泣くと、「ほらごらん、だれのために泣いているの?」

とか。なんでしょうか嫉妬なのか、なんなのか。ちょっと恐れ多いシーンでした。

 

大人しく謹慎しているところに、なにやら動きがあります。

それは桐壺の更衣の親族である明石の入道と呼ばれる人物が、自分の娘を謹慎中の光君の妻にしようと話しているシーン。妻は嫌がってますが、夫の入道は乗り気。果たしてこの娘との関係はどうなるのか、次の明石で明かされるでしょう。

光君、自らが恋多き男ですが、このようにして身分の高さから向こうからやってくる縁談も多かったのでしょうか。ちょっと同情してしまいます。

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