広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

男たちの恋バナ(源氏物語 帚木 02 與謝野晶子訳)

青空文庫 源氏物語 帚木 02 紫式部 與謝野晶子訳

あらすじ

源氏と仲の良い頭中将とうのちゅうじょうが、源氏に宛てられた女性の手紙を読んでいると

左馬頭さまのかみ藤式部丞とうしきぶのじょうがやってきた

手紙を読んだ流れから、どんな女性が良いかという話題になり

それぞれの恋愛話に移る

家柄がよくても、性格がよくなかったり

性格が良くても、家柄がよくなかったりするので

左馬頭は「まじめで素直な人を妻にするべき」だという

 そんな左馬頭は過去、容姿は悪いが何かと気がつく妻がいた。だが、その人一筋とは考えておらず、他にも恋人がいた。そのせいで妻は嫉妬し、その嫉妬が煩わしい左馬頭は「嫉妬さえしなければ、良い夫でいるのになんで黙っててくれない」と言った。妻は「我慢しさえすればいいとおっしゃるなら、別れるまでです」と言って家を出ていった。左馬頭はどうせ別れられるはずもないと、手紙もよこさず家にも帰らず好き勝手していた。ある日、家へ戻るとまるで自分を待っていたかのように、着物も温めて寝る準備もしてあったので、妻がいるだろうと期待していると妻はいなかった。それどころか「一夫一婦にならない限り戻らない」と言う。そう言われても左馬頭は断固として譲らずいると、妻は精神的にまいって亡くなってしまう。

今思えば、仕事のことも話せたし、家庭のこともきちんと成し遂げていた妻が恋しそうであった。

 

 次に頭中将の話

それほど長い関係になる予定もなかったが、馴れると惹かれ、たまにしか通わないが女の方も自分を信頼するようになった。

極たまにしか通わないのに、それについて文句も言わず穏やかな人だった。そのことについて中将の家のものに嫌味を言われて、中将自身も通わず手紙もよこさずいると歌をおくってきた。「時々には情けをかけて下さいな。この撫子の花(我が子)の上に」と

いざ会ってみると、特に恨みもせず穏やかに接してくれるので安心して帰った。が、しばらく通わずにいると消えてなくなってしまった。

 

源氏はその話に加わろうともせず話を聞くだけで、藤壺の宮に思いを馳せていた。

左大臣の家に帰って休もうとするが、中神の通り路になっていて駄目だと言われ

家従の紀伊きいのかみの家に泊まることとなる。

紀伊守の家には父親の伊予守いよのかみの後妻で紀伊守の妹がおり、先だって話題になってた娘に会いたい思いだった。

その夜中々寝付けない源氏は、娘の居る場所を探って、冷ややかな応対をされるも構わず口説き一夜を明かした。

 

感想

与謝野晶子訳は和歌の解説があんまりないので、少し残念。

和歌の意味を知ろうとしたら、瀬戸内寂聴訳とかを読んだほうがいいのかもしれない。

 

この話は、梅雨の頃また五月雨が降っていた時の話からか

『雨夜の品定め』とも言われているそうな

いわゆる、男たちの恋バナだろうか

あぁでもないこうでもないと

自分たちのことはさておき、女性のことについて花が咲くのは

いつの時代も変わらないのかもしれない

 

肝心の光源氏だが

初めての相手なのにいきなり人妻選んじゃう所が凄い

『自分が人妻じゃないときに出会っていたなら、答えられたかもしれないけども、今はもう駄目です。』

と言って断られているのにも関わらず

泣きながら、『今後どうやってあなたと文をやり取りすればいいのだろうか。今夜のことだけをいつまでも思いながら泣けばいいのか』と答えてしまう。

その後も、娘の弟を使って手紙を送って返事を貰おうとする

女の方はなんとしても返事はよこさない考えで、しまいには居場所も別のところへ移動してしまう。

 

ところで、この題名の「帚木」ははきぎ

だけども、最後の歌にしか出てこない

意味は

近づいても逢ってくれない人、逢えそうで逢えない人の喩え  wikiより

 だそうな

なるほど、女の人を例えた名前だね

桐壺もそうだったけど、通称みたいな感じかな

 

 

源氏物語 02 帚木

源氏物語 02 帚木

 

 

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