広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

商店街の活性化に挑む姉妹の話(メガネと放蕩娘 山内マリコ)

メガネと放蕩娘 山内マリコ

メガネと放蕩娘

 あらすじ

シャッターが閉まったままで寂れてしまい

かつての活気あふれる商店街から遠のいてしまった街

市役所の広報課に配属されて早7年の、本屋の娘・主人公は

地元の国立大学で社会学を教えている原まゆみ先生から取材を受けていた

商店街が寂れてしまった理由、商店街に出店する店に補助金まで出しているのに

活気が戻らない理由などなど

大型のショッピングセンターが出来てしまったことや、商店街に駐車場がないことなどを答える、貴子

先生との会話の中でふと出た、商店街に来たことがない学生がほとんどという事実

仮にもまちづくりに興味があって、そういう事実があることに愕然とする

以前は、貴子が学生時代の時はマクドナルドもオシャレなショップもCD屋もあって、商店街で育った子どもたちは「まちっこ」と呼ばれ自由気ままに闊歩してした

のにもかかわらず、現在の有様になんとかしなければ、でもどうしたら良いかはわからず悶々とした思いだけがあった

そんな所に家出同然で居なくなった、妹のショーコが臨月の姿で内田家へと帰省した

 

原先生、ウチダ書店の姉妹タカちゃんとショーコ、ショーコのバイト先を拠点としてどうしたら商店街が活性化するのかという議題について話し合う

「にぎわい創出」という名のついたイベントを開催するのだが

ショーコがバリバリに活躍する

家出同然で出ていったショーコは東京で読者モデルをしカリスマ定員にもなったという経歴の持ち主

次々とアイディアを出して、商店街で素人さん参加型のファッションショーをすることになる

原先生のゼミ生にも協力してもらい、開催に向けて動き出す

 

 感想

単発のイベントをしただけで、商店街が活性化するとは思えない

シャッターが閉まったままで、テナント募集をしない理由は

持ち家であり、それほど困っていないこと

子供を大学まで行かせて東京などに行かれても、育てきった後は

ゆっくり静かに老後を暮らしたい人々が多く

テナント募集をしないのは、住居一体型の構造にある

店の中を通らないと、住居にたどり着けない構造上

全く知らない他人に、貸すということに抵抗のある人が多い

そこでゼミ生が考えたレポートも良く出来ており

その後に考えた策も、妥当だなと思った

 

まちづくりに関しては、その後もショーコの活躍が続き

未来に残していける、他の商店街でも真似できそうなアイディアがあった

 

議員の人が、パッと作ってサッと無くなっていった保育所

終盤、いい感じに汚名返上してどこかホッとした

新聞のニュースを賑わすためだけのために作られた

甘い言葉だけ並べられて、実は全くそうじゃなかったっていう

ことが、議員やるじゃんに変わってた

 

シャッター商店街で非協力的だった、不動産会社の人も実は

とある事情を知っていたから、新しく商店街で店をやろうとしていた人々に

色々ときついことを言っていたのだということも

後々わかる

 

まぁ読み終わってみれば

すべてが丸く収まった、上手いこと出来ていた小説だったなと

割と読みやすくサラッと読めた

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