虹にすわる 瀧羽 麻子
天才型の魚住と努力型の徳井、ふたりが椅子工房を開く話
あらすじ
仏壇職人だった祖父がはじめた修理屋、祖母がなくなってひとりになった祖父を心配して東京から越してきた徳井。時間を潰して家に帰宅していた徳井を待っていたのは、大学自体の後輩魚住だった。
藪から棒にここに置いて欲しいという魚住、その場に居合わせた祖父がOKを出すと、いぶかしんだ徳井は問いただす。だが、魚住をよく見てみろという祖父の言葉に従って見てみると、憔悴しきって疲れた様子が見て取れた。椅子職人の工房で働いていたがやめて出てきたという魚住に、身体が回復するまで置いてやってもいいかと気を変える徳井。魚住は徳井が家具を作っていると思っていたが、事実を話してやると、椅子工房を二人でやろうと言ったじゃないかと言われる。それは10年前軽い気持ちで同意した魚住との夢だった。
だが、魚住は真剣に椅子工房を二人ですると意気込んで、倉庫だったところを整理して作業場を作ってしまう。それどころか、実際に椅子を作ると言い出す。果たしてこの先どうなることやら・・・
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感想
教授が言った、このふたりは足して二で割ったら丁度いいって頷ける
魚住は、デザインは上手いけれど技工がいまいち、徳井はデザインは平凡だけど技工が上手い
性格の面でも、底抜けに明るい魚住と、何かと考え込みがちな徳井
性格的にも技術的にも対照的なふたり
二人がそれぞれ抱える問題、魚住はなにかと徳井やおじいさんに甘えがちなところ
あとすねたり、無邪気で子供っぽいところ
徳井は、ひとりで考え込むところ、人のためと人のせいにするところ
そういったところが、魚住の尊敬する建築家で教授の進藤がふたりに自分の家具を完璧に仕上げるための職人にならないかと持ちかけた話で浮き彫りになる
二人が作った椅子を見て声をかけてきた進藤だったが、実際に評価されたのは技術的な面であった
それはほぼ徳井がひとりでしてきたこと、技術面に心もとない魚住ではなかったこと
そのことで喧嘩して、頭を冷やした二人
でも結局はおじいさんとの対話で気づく、自分が椅子づくりに対して抱いていた思いを
それで和解して、歩み寄って解決
作中では、ほのめかしの恋愛もどきである、ヒロインポジション菜摘と徳井との恋愛
でもこれは、発展も何も、芽吹きそうかなーくらいの状態だったから
これはこれで、続編が出れば進展もあるかなーぐらい
魚住に至っては、別れる別れないで、ぬいぐるみ作家胡桃との悶着も、どうなったことやら
椅子にかける情熱を理解してる胡桃とは、結局元サヤに戻るんじゃないかな
不満というか、もうちょっと続編とかが出れば読みたいのが
二人の椅子づくりのエピソードかな
夫婦椅子はいい話だったし、あんなかんじでもう少し読みたい
でもそれじゃあ趣旨と違うのかな
タイトルの「虹にすわる」は魚住の子供の頃の夢だった
いいね、発想力豊かな子供だよ
いつかふたりで虹に座れるといいね