広く浅く

広く浅く

本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

2017年おすすめ小説6冊

 

です。

ではさっそく

 

1冊目 きらきらひかる 江國香織

きらきらひかる

恋愛感情のない二人が、契約的に結婚した生活を綴る

男は、医者で性格も穏やか。ただ、女を愛せない。紺という恋人がいる。

女は、アルコール依存症で情緒不安定。親のすすめで結婚する。

愛はお互いに無いと、言いつつも

お互いを思いやる気持ちに溢れてる。

ただそれが、噛み合ってなくて読んでるこっちは歯がゆい。

これも一つの愛なんじゃないか。そう思わせてくれる、作品。


2冊目 さまよえる古道具屋の物語 柴田よしき

さまよえる古道具屋の物語

不思議な古道具屋で自分の意志とは関係なしに
店のものを一つ購入させられる主人公たち
忍者ハットリくんのように張り付いた笑顔を浮かべた
男とも女とも、はたまた若いのか年をとっているのか不明な店主

 

読んだ人には分かる表紙の意味とか

ラストの持っていき方とか流石としか言いようがない

 

3冊目 毒見師イレーナ マリア・V・スナイダー

毒見師イレーナ (ハーパーBOOKS)

翻訳物の3部作、1作目

全517ページにわたる長編作
過酷な運命を辿っていたイレーナに、残された生きる手段が『毒見役』だった
最高司令官の毒見役として防衛長官ヴァレクに指導されるイレーナ
殺さざるを得なかった男・レヤードの亡霊に悩まされつつ
生き延びる手段を考える
生きるか死ぬか、逃走されない手段として日に一度解毒薬を飲まなければ、毒にやられて死ぬと脅され、従うしかない
 
っていう
恋愛がほんのり入ってはいるものの
基本、スリリング
でも ヴァレクが登場する度、ニヤつきが・・・
 
魔法が存在するファンタジーな世界観
反魔法の国イクシアと魔法の国シティア
イレーナが育ったのはイクシアで、実は魔法の力を持っていた自分
シティアに自身の力を制御するため来ないかと持ちかけられたり
恋愛要素が主なのは1作目で
他2作はイレーナの出生やイレーナ自身の能力について
国をまたいだ強力な敵との戦い
家族との絆、ヴァレクとの絆
とかとか
 
読み応えたっぷりな3部作
来年2018年には新シリーズの出版が決定されたそうな
楽しみ
 

4冊目 凍りのくじら 辻村深月 

凍りのくじら (講談社文庫)

何事にも客観的に捉えてしまう、現実味のない冷めた意見を持つ、高校生・理帆子
ある時、写真を撮らせてほしいと同じ高校の男子生徒・別所あきらに出会う
同級生やその他の知り合いと違い、自分の意見を素直に出せる別所と仲良くなり
写真を撮っても良いと言うようになる
同じくして、母親はガンに侵され余命2年と申告されていた
それまで決して親子関係が良かったとは言えなかったが、入院をきっかけに、2日と間を空けずに見舞いに通うようになる
父親は母親がガンと診断される前に、蒸発。行方知らずとなる
父親は、有名な写真家で、海が好きな人だった

 

一口に言えば

主人公があきらに出会ったことがきっかけで

人間的に成長する話

最後に驚きのネタバレがあってビックリ

でもそれが逆になるほど~とうなずかせる 

ハッピーエンドなので是非


5冊目 コンビニ人間 村田沙耶香

コンビニ人間

第155回芥川賞受賞作品

人間的にずれている主人公・古倉恵子36歳独身
コンビニでバイトしはじめて18年、店長は8人代わり、店員も様々、お客も入れ替わる
そんな中での話
 
コンビニ人間というのは、言い得て妙だな、と
「コンビニの『声』が聞こえる」

と作中での主人公のセリフ

自然と思い浮かぶ、コンビニのためにしなくてはいけないこと、足りていないこと

それは何も主人公に限った話ではないとわたしは思う

 

主人公にとってコンビニは天職で

周りに理解されなくても大事なものだった

 

普通でないことを親からも妹からも悲しまれ

コンビニの同僚から普通を知る

コンビニに対してだけは普通の人でいられた、という主人公

普通ってなんだろう、普通でいなければならない理由って

そう思わせてくれる作品でした


6冊目 本を守ろうとする猫の話 夏川草介

本を守ろうとする猫の話

 

祖父がなくなり、両親も既に他界してひとりきりの主人公・ 林太郎

祖父が残した古書店・夏木書店で呆然としていると

一匹のトラ猫がどこからともなく現れる

おまけに「お前の力を借りたい」などと言う

本を解放する助けをして欲しいらしい

わけも分からず連れて行かれた先で出会ったのは・・・

 

要は本を閉じ込めている、という3人に出会い

本を解放するため、話をする

という流れにはなるのだが

その3人の言い分が、とても本を読む者として思い当たる節があって

辛かった

 

改めて

『読書』とは『本』の存在意義とは

と考えさせられる作品

 

ちょっと分かんないのが

帯のキャッチコピー

読み終わってもイマイチ、ピンとこない??

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