広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

王と麒麟の絆(東の海神 西の滄海 十二国記 3 小野 不由美)

東の海神 西の滄海 十二国記 3 小野 不由美

東の海神(わだつみ)  西の滄海 十二国記 3 (新潮文庫)

あらすじ

延国の国王を麒麟が選ぶまでの話と、延国の麒麟が誘拐されてしまう話を交互に描く

 

口減らしとして山中に置き去りにされてひもじい思いをしながら、それでも父親の言いつけどおり動かずにずっと待っていた六太。瀕死の彼を救ったのは彼が麒麟だったからという事実とそのために迎えが来たからだった。
その六太が蓬莱・日本で延国の王となる人物・小松三郎尚隆に出会う。ひと目で彼が王であることを見抜いた六太。それは天啓ともいわれる、身の毛がよだつほどの歓喜だった。

尚隆が延国の王になってはや20年、先王の荒れた統治からようやく復興に向かいつつある延。かつてはあたり一面茶色の大地だった土地も、緑が目立つまでになった。
さぞかし真面目に政治に取り組んでるかと思いきや、そうではなく朝議にも半分以下しか出席せず、予定していた面会にも応じず困り果てていた家臣たち。そんな延王から不審な動きをする州が現れたと聞かされる。街で仕入れたという、元州の羽振りが妙にいいことだった。元州には武器庫もあり、謀反のおそれありと延王はみていた。
そんな矢先、六太が何者かに拉致される。慌てる家臣たちに、延王は待っていれば何らかの動きがあるはずと落ち着いた様子だった。そして案の定元州から使者が王宮にやってきて・・・

 

感想

仕事してる風を装えば、家臣たちの苦言も少なくなっただろうに、あえてというかつつみかくさずというかあけっぴろげで遊びに出かける延王を、馬鹿と呼んだ延麒の的を得ているところ。でもしまいにはみんな悟ってしまって、居ないほうが朝議が進むだとかいい出す始末。でも、やるべきことはやってるというか、ここぞというところは逃さないというか、サボるのが上手い延王。好きです。

 

今回は延麒・六太が元州・斡由によって拉致されて、囚われの身となり身動きの出来ない状態にされる。角は麒麟になれないよう封じられ、しかもそれを解こうとすると道連れに殺してしまう人が出来るように細工されていた。なんて卑怯なやつ。巧妙な細工です。そんなことしなくても逃げないという六太の言葉なんて耳に入らない様子。

いくら延王が堤防を作ってくれないと仕事をしてくれないからといって、延麒を捕らえて自分が王より偉くなる官職を設けろ。なんて無茶なことを言う。気持ちは分からんでもないけど、王も忙しい身それだけに構ってられない。けど、こんな謀反ありそう。

せつないのは六太と仲良くなった、更夜の存在。妖魔に守られるという奇異な身でありながら、斡由に助けられた恩を忘れず忠誠を誓っている。斡由の口に出さない意図を汲んで動こうとする。

いくら恩があっても、いくら他の人間とは違い自分をのけものにしないで親切にしてくれたとしても、残酷だった。

 

 

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