広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

5カ国のそれぞれの短編集(華胥の幽夢 十二国記 7 小野 不由美)

華胥の幽夢 十二国記  7 小野 不由美

華胥の幽夢 十二国記 (講談社X文庫)

あらすじ

短編集

冬栄

風の海 迷宮の岸の舞台裏。泰麒が隣国廉へ向かう話。泰麒が蓬莱・日本へ泰果のまま行方不明になった時、蓬莱から蓬山への橋渡しで廉国の麒麟に助けてもらった。その時のお礼と廉国の様子を見てきてくれるよう驍宗に頼まれた泰麒。役立たずだから、廉国に追いやられてしまったのではないかと危惧する泰麒に廉国王が語ったこととは・・・

乗月

芳国王が月渓に討たれてしばらくした頃、月渓はそれまで朝廷で政務を手助けしていたことを辞め、自身の収めている恵州へと帰ると告げたのだった。その時、慶国から親書を持った将軍・青辛が芳国を訪れる。自分が来たことで月渓を怒らせてしまったと憂う将軍に、事の次第を説明する冢宰。天命でもなく、王を務める気など無く仮王として玉座に座るつもりもないう月渓に、青辛が話をする。

書簡

慶国国王・陽子と楽俊の往復書簡。延国の大学で役人になるための勉強をしている楽俊と、王になったばかりの陽子がやりとりする様が描かれる。

華胥

才国の王と麒麟の話。このところ調子が悪い才麟の見舞った大司徒の朱夏。女性の自分だけが面会を許されたその理由は、才麟・失道にあった。傑物と謳われた王が何故麒麟失道になるまでに至ってしまったのか。才国の宝重・華胥華朶の夢とは・・・

帰山

奏国次男利広が諸国放浪から戻ってくるまでを描く。隣国柳を放浪中の利広。柳が危ういという噂を聞きつけてやって来たら、柳国の様子がおかしい。みなが浮足立って妙に明るかった。それは柳が取り返しの付かないほど傾いていることを示していた。その情報を持ち帰り奏国へと帰還する。

 

感想

「乗月」、将軍・青辛って誰だろうと思っていたら桓魋のことだったのね。半獣の将軍なんて早々簡単に居ないと思っていたけど、立派に月渓を説得していい仕事したなぁ。それと桓魋が朝廷内にいるってことは半獣の権利も得ることになったんだろうとは思っていた。けれどちゃんと「帰山」で半獣と海客に関する規制が撤廃されたと聞いて良かったと思った。勅令で下されるとは思ってなかったけど。乗月に関してはまだ言いたいことがあって、祥瓊の罪について月渓も陽子も減刑を供王に願ったこと。陽子はまだ分かるけど、月渓がさ芳王を討ったことで別に恨んでたわけじゃなくて「敬愛してたのですね」って桓魋のセリフがあって、なるほどっと腑に落ちた。公主である祥瓊は即座に斬首せず追放した月渓だったけど、なんでかなぁって思ってたから。討ちたくて討ったわけじゃなくて、見てられなくて討ったんだなぁ。だから公主までは斬首せずにいた。その公主が悔い改めたから減刑を望んだ。結局供王も恭に立ち入ることは許さぬって言ってくれて、珠晶らしいなぁとは思ったけど。良かったなぁ、ちゃんと祥瓊が恭に謝りに行く前に止められたかな、それだけがちょっと心配。

「書簡」、微笑ましいやりとりだ。このふたりのシーンは安心して読んでられて良い。ふたりとも見えを張っちゃっていいことしか書いてないけど、お互いに元気でやってることを知れればそれで十分って間柄が見て取れる。陽子も見栄を張ってる楽俊に気付いてたけど、元気でやってることが知れて、そこで楽俊も頑張ってるから自分も頑張ろうと思える陽子が頼もしかった。

「華胥」、間違いを指摘することは誰にでも出来るけど、間違いをこうしたら良いのではと案を出して正しい方向に導くことは難しい。確かにそうだと改めて認識できた。それにしても、華胥華朶の使い道には気をつけないとって、誰か使い方記しておいてくれても良さそうだなぁ。それに気付けないほどならそれまでだってことかな。

「帰山」、仲良し家族。奏国のトップは王だけじゃない。ってところが600年続いた秘訣かも。ま、仲いいこととそれぞれのポテンシャルが高いことと、やっぱり王の采配が大きいのかもしれない。

 

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