活版印刷三日月堂 空色の冊子 ほしお さなえ
店主弓子の家族の回顧録
あらすじ
7つの短編集
ヒーローたちの記念写真
映画ライターの片山が、自身が雑誌に載せていた連載小説「我らの西部劇」を本にしようと仲間の出版社勤務・杉野に依頼をしていた
だが、今の御時世、西部劇など流行るはずもなく、一度は却下されており二度目の挑戦だった
杉野から連絡があり、また駄目だったんだろうと思いながら待ち合わせの喫茶店へ向かう
待っていた片山に告げられたのは、また失敗したという杉野の言葉だった
それは流行りではないというだけではなく、片山が問題を起こして辞めた月刊キネマトグラフの販売部と部長が親しかったからだった
せっかくだからと行きつけの古書店に杉野を誘った
そこで不意に評判の良かった名刺を作っている三日月堂の親父さんのことを思い出して・・・・
星と暗闇
三日月堂店主・弓子の両親の出会いの話
修平は幼い頃祖父に星空を見に山へ連れて行ってもらった
以来、宇宙のことを考えるようになる
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」に出会い、山の上でみた星空を思い出した
それから宮沢賢治にハマり色々読みだした
次第に天文学にも興味を持ち始め、進路もそちらに進みたかったが理系が得意ではなく
国公立大学の教育学部なら天文学の研究室もあるところがあるかもしれないと言われ、そちらに進学した
卒業後公立高校に就職した頃、同じ学校に村田カナコという国語教師が入ってきて・・・
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感想
もう、みんな亡くなってるって分かってたけど
お母さんとか亡くなる場面はやっぱり辛い
弓子さんがお父さんを亡くして、祖父の三日月堂に取り敢えず生きるために移り住んだ
ってあって確かに、最初は舞い込んできた依頼をこなしてたなーって思った
そういう思いがあったんだーとなんだか切なくなった
短編の中では表題の空色の冊子が好き
幼い弓子さんと祖母の会話とか、雰囲気がいい
テキンではじめて作った制作物がレターセットだったんだね
それ、本編でも書かれてたけど、それにまつわる話が読めて嬉しい
カナコの友達裕美の話が切なくて悲しい。
親の勧めのまま結婚して、子供を生んで育ててたけど
夫とはすれ違ったまま
浮気されて続けて、修復不可
そんな日常が読んでて辛かった
でも最後ちょっと前を向けて希望が見えた気がした。
みんないずれは亡くなるものだけど
弓子さんの両親、亡くなるの早すぎる
そりゃ、生きてさえいればって気持ちになって当然だよ
友達の唯がいてくれてよかったって思う
でないと、ひとりで頑張ってひとりで辛くて
吐き出せなかったと思う
そんな弓子さんが幸せになっていると今は知ってるから
頑張ったなーと思う
続く短編では未来編だという
ほしおさんのお知らせには、4巻の続きではないと書かれていますが
はて、どんなお話でしょうか