広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

日常ミステリ短編集(あなたに謎と幸福を ハートフル・ミステリー傑作選 宮部 みゆき他)

あなたに謎と幸福を ハートフル・ミステリー傑作選 (PHP文芸文庫)

あなたに謎と幸福を ハートフル・ミステリー傑作選 宮部 みゆき他

 

アンソロジー

日常ミステリ短編集

 

あなたの不幸は蜜の味ーイヤミス傑作選と対になる

 

あらすじ

割り切れないチョコレート 近藤史恵

ビストロ・パ・マルに訪れた客、二人の客は危うげな雰囲気を持っていた

取り乱すわけでもなく静かに泣いていた女性は、妹で

慰めるでもなく眺めていた男性が兄らしい

二人の会話によると、母が余命幾ばくかのガンなのに、兄が見舞いにすらやって来ないとこを責めていた

会計時、兄がシェフを呼んで文句を言ってきた

いわく、デザートに使ったボンボンショコラの味がまずいと

確かめてみたら、確かにチョコの味が前より落ちていた

しばらくして、雑誌にあの兄が載っていたことを見つけた金子さん

兄は有名チョコレート専門店<ノンブル・プルミエ>のオーナーショコラティエだった

 

鏡の国のアリス 加納朋子

探偵事務所をしている仁木順平

息子・航平に呼び出され話を聞くことに

航平には結婚を考えている女性由理亜がいるが、その女性がストーカーにつきまとわれて迷惑してるという

ストーカー田中朋子には航平から説得をしたが聞く耳を持たず、素敵な教会を見つけたとかウエディングドレスはどこのブランドがいいとかいい出す始末

航平と会ったあと、ふいに声をかけられて振り向くとそこには女性が立っていた

仁木順平さんですかと尋ねられた女性は由理亜だった

由理亜の部屋には田中が侵入したかもしれないので、一旦仁木の家で由理亜を預かることになるが・・・

 

次の日 矢崎存美

男・直之は久しぶりに我が家に帰ってきた。7年ぶりだろうか

だが、娘・穂波はいい顔をしない

母はいなかった

見せたいものがあるといい、ドアを開けた穂波に見せたのは散弾銃だった

母はどこへ言ったという直之に旅行へ行ったという穂波

帰ってきてもらえ、話があるという直之

見せたいものがあるから入れたのに、と玄関へかけだす穂波

そこへ直之が上に向かって銃を発射

しばらくして、電話がかかってくる

穂波が出たが、直之に代わって欲しいという

でた直之に聞こえてきたのは、警察の山崎という男の名前だった

 

他2編を収録

 

===

感想・ネタバレ

アンソロジーでは大抵知らない作家さんがいたりするんだけど

今回は皆知っていた。珍しい。嬉しくなる

 

ハートフルミステリーとあってどれも読了感はいい。

中でも一番良かったのは近藤史恵さんの作品。

何故チョコの数が素数だったのか理由が泣かせる。

 

加納さんは見事はめられたというか

スリードされた

仁木と同じ結論に至った

だって、怪しいじゃん

後をつけてたのか知らないけど、蕎麦屋で声かけられるって

でもそれが喫茶店で働いてたからって事実があるから不自然ではないのかな

舌っ足らずな話し方も、補聴器をつけてたからで

ハリネズミのことを気にしなかったのは、仁木の妻のねずみ嫌いを知っていたからだってこと

 

矢崎さんは

なんか微妙な気分になった

なにをして7年振りだったのかが気になるところだけど

許せるかなーって

まぁ男女の話だから、理解出来なくてもいいんだけど

妻、懐深いというか情があるんだろうか

解説で編集の細谷さんが、終わりのささやかな希望に満ちたラストで

このハートフルミステリーに入れたってあったけど

んーーどうだろう

 

大崎さんは

問題の中心人物の女性徒が友達を思ってしたことの勇気というかむちゃぶりに驚く

だって、瓶を投げてその真下にいて、気絶する

ということを思いついてやっちゃうっていう実行力

下手したら死んでてたかも知れないのに・・・

よくやったわ

 

宮部さんは

時代を感じるトリックというか

題材にしたね

駅の伝言板って最近見かけない

懐かしさを感じる

それで、宮部さんと言えば子どもを扱ってるイメージが強くて

大人の人だったから珍しいなーという印象

この話も結構好きかも

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