広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

末摘花の再登場(源氏物語 蓬生 15 角田光代訳)

源氏物語 蓬生 15 角田光代

源氏物語 上 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集04)

あらすじ

『末摘花』の話

光君が須磨で暮らしていた頃、都でも嘆き悲しんでいた女たちがいた。紫の君などは光君からお互いの手紙のやり取りをしたり、官位を失った後のかりそめの衣装などを季節に合わせて用意することで、つらい気持ちを紛らわすことができていた。

末摘花は、父親が亡くなってからというもの他にはだれも世話をしてくれる人がおらず、光君の援助が頼りだった。だが光君が須磨に行ってしまい、援助が絶え、末摘花の暮らしはさびしいものになっていた。おまけに女房たちも邸がさびれると同じ時期に数が少なくなっていた。

鬱蒼とした木立、手入れをされない庭。だが、風流な家を好む受領たちが邸を売って欲しいと言ってくる。末摘花はその誘いを断固として拒否した。不気味に荒れ果ててはいるけれども、両親の面影が残っている大事な邸だと。

そして調度品も骨董をかじったものが欲しがっていたが、これも毅然と断る。亡き父が自分が使うためにと設えてくれたものだからだ。

訪れる人もめったに居ないが、兄の禅師の君だけはごくまれに訪問する。けれども荒れ果てた邸をみても手入れをしようかなどとは言わない。朴念仁である。

長年使えており良くしてくれた侍従が、この邸だけではとても暮らしていけそうになく、叔母のところへも通い始めた。この叔母が、娘もおり娘の召使いにしようとして、上手いこと末摘花を叔母の元へ引き寄せようとしていた。が、末摘花の引っ込み思案な性格からそれがなし得なかった。

侍従が叔母のもとで親しくしていた男とねんごろになり、末摘花の元を去ることとなった。

そこで歌ったのが「離れることはないと頼りにしていた玉かずらーあなたですのに、思いもかけず遠くに行ってしまうのですね」という歌だった。

荒れ果てた邸の中で、唯一の頼りである光君の訪問を願って待つ末摘花。

光君が須磨の謹慎から解け都に戻ってきたおり、花散里の所へ行こうと末摘花の家の前を通り・・・

 

感想

良かったね、末摘花。光君を信じて待ち続けて。

鬱蒼とした邸も光君のおかげできれいになって。それに二条の東の院というところで、光君のそばに移り住めて。

なんか家財や家をつけ狙う人々の思惑もはねつける事ができる、しんの強い女性なのね。

ナイスだわ、光君。忘れずにいてくれて。こういうところがあるから、愛しくなっちゃうの。

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