猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち 大山淳子
あらすじ
弁護士・百瀬が事務所を務める百瀬法律事務所は、猫が多数住んでいることから「猫弁」と周りから認識され張り紙のいたずらさえされている。
猫弁、つまり猫の弁護士と言う名のつく通り、依頼は猫やペットに関する依頼が多い。
今回の依頼人は、シンデレラシューズという靴の会社の社長。会長である母親の葬儀を執り行っていた最中に霊柩車を何者かに盗まれ、身代金を請求されてしまったという件。
それと平行して、マンションで猫を飼っている婦人が自分の猫だけを育てたいがために、他の住民にはペット禁止を継続してもらいたいという依頼も舞い込む。
百瀬の件とは別に、霊柩車を盗んだ犯人側の視点も描かれ、交互に話しが進んでいく。
果たして結末は・・・
感想
交互に話しが進んでいくので、初めは全体像がつかみにくかったけれども
段々と解決の糸口が見つかるにしたがって、納得いく点も出てくる。
あぁあの登場人物はこういう役割りだったのか、と。
特に最後に明かされる意外な人物の意外な背景には、さすがドラマ化されるだけのことはあると感じた。そしてつられてうるっとしてしまった。
何かに秀でている人たち、プロの人たちにかかると、書き方の癖であったり人相であったり(今回は靴だったけれども)に、その人の人柄?がわかってしまう不思議。
上質な靴を長く履いてもらいたいという会長と、安い靴をどんどん履き替えて売り上げを伸ばしたいという社長の言い分。どちらもわからないことはない、これは消費者が選択するものだから。でも母親と息子という点から見ると、少々複雑な背景になってくる。どう折り合いをつけたのか、と言うところも見どころの一つ。
シリーズ作品なので、百瀬のその後が気になるところ。続きを読んでみたい。