広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

顔をなかなか見せない女性に対して(源氏物語 末摘花 06 與謝野晶子訳)

末摘花(すえつむはな)は古語でベニバナの意味

源氏が名付けたあだ名(悪い意味で)

 

源氏物語 末摘花 紫式部

源氏物語 06 末摘花

 

あらすじ

夕顔を亡くし、いまだ思い続ける源氏

だが、他にいい人がいないか模索する日々

大抵は、短い手紙を送っただけで簡単に好意を持ってくれる

それがなんだか源氏には物足りないようで

冷たくされたいわけではないが、空蝉を思い出すのである

 

ある時、命婦常陸の宮の亡き一人娘の話をして聞かせた

琴が趣味のおとなしい女性だという

それを聞いて、琴を聞きたくなった源氏は命婦の元を訪れた

十六夜の月の朧に霞んだ夜に訪れ、命婦の部屋でこっそり聞き耳を立てていた

命婦が琴の音が聞きたいと女王に頼み、弾いてもらえることに

こっそり聞き耳を立てていた源氏は、女王の琴の音に

あまりたいしたことはないが聞けないほどではない

しかし、女王と言う身分でこんなさびしい邸に、大事がられていた名残もないようではどんなに味気ないことが多いだろう

そう思っていると演奏が終わり

短い演奏時間で技量が分からず、つまらないという源氏に

命婦は、どうやら源氏は女王に興味を覚えたようだと思った

将来は交際ができるように、頼むよ、と言い残した源氏

 

帰り際、身体を隠すようにして立っている者がいた

誰であろう頭中将であった

共に、宮中を出たはずの源氏がいつの間にか居なくなっていて

後を付けたのであった

後をつけられたことにおかしくも憎くもありながら文句をいうと

恋の成就には良き供を付けることだ。と言われ

残念に思う一方で、冗談を言い合う相手が居ておもしろい気持ちだった

 

その後二人は常陸の宮に手紙を送るが

一向に返事が来ない

諦めない源氏であったが・・・

 

感想

源氏物語で不美人と呼ばれる末摘花

鼻の頭が赤いためそう源氏にあだ名を付けられた

 

勝手に期待したのは源氏たちの方であって

末摘花は、謙虚に固辞していた訳である

そこを何を勘違いしたのか必死にアタックしたのである

 

末摘花が不美人とわかっても、そこで疎遠にならないのが源氏

なんだかかわいそうになって

着物なども送った

末摘花は着るもののセンスも悪かったのである

後には貧乏だった末摘花に生活費も与えた

普通ならプライドが邪魔して拒否するが、末摘花は素直に喜んで受け取った

そのことも源氏は安心した

 

結果的に末摘花の面倒をみた源氏

捨て置かないのが、普通の遊び人とは一味違う所かな

 

 

源氏物語 06 末摘花
 

 

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