広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

甘くないファンタジー小説(童話物語 向山貴彦)

童話物語〈上〉大きなお話の始まり (幻冬舎文庫)

 

『童話物語 向山貴彦著』のあらすじと感想

甘くないファンタジー小説

あらすじ

妖精のフィツは、人間世界で初めて出会った人間を9日間観察する

という名目を受けて人間世界に降り立った

妖精が病気をもたらす不吉な存在と言われる世界

そこで出会ったのは、ペチカという少女

親も兄弟もおらず、教会で働きながら生活している

ただ、フィツが観察しようとしても、ペチカには「呪われる」と言われ邪険にされる始末

誤解を解こうとするが、一向に相手にしてくれるどころか、「あっちへいけ」だの「死んじゃえ」だの言われ続ける

フィツの存在が周りの人間に見つかった時、ペチカもフィツも危険な目に会う

そんな時、ペチカがみせた行動とは・・・

 

感想

文庫本のあらすじには

極めて性格の悪い少女ペチカ

 と書いてあって、どんだけ性格が悪いのかと思えば

周りのすり込みと、いじめられていることの反動で悪くなった部分が大きいと思う

それに一人で生きていかなければならない環境とか『飢え』とか

現代の日本で、普通に両親も健在なら、きっとペチカも普通の女の子だった筈

多少素直じゃなくとも

 

妖精のフィツのほうは、これまた根気がいる仕事というか

重大な仕事を任せられるだけの人格があるかも

 

童話物語、とあるように

童話がキーポイントとなるのだろうけど

要は良い存在と、悪い存在の対立とか対比

この童話物語では、フィツが良い側でヴォーが悪い側?

まだ上巻しか読んでないけど現時点ではこんな感じかな

あとは、母の存在。

ペチカにとっては母が全てと言うか

幼いころに母を亡くして、それっきり独りぼっちだから

まだ母が恋しい年頃だよね

母の写真がペチカにとって何よりの宝物

 

結果的に、追い出されたような恰好になったけど

ペチカにとっては良かった

あの教会にいても得るものはなさそうだし

 

気になるのが2つ

一つは、いじめっ子のルージャン

物語において、名前のある脇役というのはそうそう居ないと思うので

おそらく下巻あたりで活躍してくれるんだろうけれども

まだ、ペチカと合流していないのでなんとも言えない

はるばるペチカを追って一人?で来ているけども

嫌い嫌いも好きの内なのでしょうか

 

あとは、おばあちゃんとロバ

目の見えないおばあちゃん

ひとつもセリフはなかったけれど

ペチカの心に大きく影響を与えた人物

初めてペチカが人の優しさに触れた人でもある

その後が気になる

 

村おこしをしようと、弱小広告会社と村民が協力する話(オロロ畑でつかまえて 荻原浩)

 

オロロ畑でつかまえて (集英社文庫)

 

オロロ畑でつかまえて 荻原浩

村おこしをしようと、弱小広告会社と村民が協力する話

 

あらすじ

牛穴村という、山の奥そのまた奥深くにひっそりと佇む村があった

主な産物は、かんぴょうやオロロ豆

民芸品のゴゼワラシなど

 

年々メンバーが減っていることに、村の青年会のメンバーは悩んでいた

今のままでは8人必要な、村の祭り・千貫みこしが担げない

このままでは村が廃れてしまうことに危機感をもったメンバーは

広告代理店に頼んで、村のイメージアップをしてもらおうとする

 

まずはメンバーのリーダー・慎一の知り合いを頼るが・・・

 

感想

この作品、シリーズ物らしく

本作が1作目

倒産間際の広告代理店ユニバーサル広告社が請け負う話である

 

タイトルの『オロロ畑でつかまえて』

ライ麦畑でつかまえて」を意識しているのだろうか否か

読み終わってみて、ライ麦の方は読んだことはないけれども、wikiであらすじを確認する限り、言わずもがな~なタイトルの付け方だなぁと思う

これライ麦読んだことある人は「おっ?!」っと思うんじゃなかろうか

 

村おこしの方法は、まぁさておき

結果的に良い方向に着地する感じで、結末はほっとした

だってねぇ やり方がやり方だけに、一歩間違えればマイナスの方にガクッと落ちそうな方法だったからねぇ

ユーモア小説と銘打っているから、それほどひどい結果にはならないんだろうけども

ひやひやする

 

ラストのオチもユーモア小説ならでは

まさかのまさか

あのよくわからない鳥が、あの有名な鳥!?みたいな

 

村おこしに知らないうちに協力させられた人の、意外な副産物

も驚き

 

赤川次郎さん好きな人は、多分好きな小説かもしれない

 

ちなみに

荻原浩さん、この作品がデビュー作

で、渡辺謙さん主演の「明日の記憶」原作者だそうな

知らなかった 

 

べっぴんさんの松下優也くんについて

松下優也くんの演技

いやはや

普段は歌ってるところしか見たことなく

クールなイメージの松下優也くんですが

役どころを上手く演じているなぁ という印象です

血の気の多い、けど純情な感じが出てると思います

 

というか

私のはじめの印象では

松下くんはちょい役になるのではないだろうかと思っていたのですが

どうやらなかなか出演頻度が高いじゃあ~りませんか

期待をいい意味で裏切ってくれて、嬉しいあまりです

 

ちなみに

松下優也くんは、現在ソロ活動休止(泣)

X4 OFFICIAL WEBSITE X4として活動されているようです

過去にはアニメ「黒執事」のセバスチャン役で舞台にも出演

歌の方はアニメ「デュラララ!!」のED「Trust Me」が有名かと

 

 

肝心の「べっぴんさん」のあらすじですが

 会社経営をする家に生まれた主人公・すみれが、戦後を生き抜き、生きていくために子ども服を作りながら仲間と協力し合う物語

 

当時にしては珍しい、洋装が普段着のお嬢様が

戦争で、夫が帰らず、貯金も下ろせない状況で

なんとか子どもを育てていかなければならないために

自分の得意な裁縫で、女学校時代の『手芸倶楽部』の友達を誘い

幼いころ刺繍が上手くなりたい一心で、訪れた靴屋の「あさや」で

子ども服専門店を開くお話

 

現時点ではそんな感じ

 

モデルが、ファミリア創業者の坂野 惇子ばんの あつこさん

らしいです

 

 リンクとか

 

NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上

NHK連続テレビ小説 べっぴんさん 上

 

 

www.nhk.or.jp

 

松下 優也 オフィシャルサイト

familiar ファミリア 公式サイト

男たちの恋バナ(源氏物語 帚木 02 與謝野晶子訳)

青空文庫 源氏物語 帚木 02 紫式部 與謝野晶子訳

あらすじ

源氏と仲の良い頭中将とうのちゅうじょうが、源氏に宛てられた女性の手紙を読んでいると

左馬頭さまのかみ藤式部丞とうしきぶのじょうがやってきた

手紙を読んだ流れから、どんな女性が良いかという話題になり

それぞれの恋愛話に移る

家柄がよくても、性格がよくなかったり

性格が良くても、家柄がよくなかったりするので

左馬頭は「まじめで素直な人を妻にするべき」だという

 そんな左馬頭は過去、容姿は悪いが何かと気がつく妻がいた。だが、その人一筋とは考えておらず、他にも恋人がいた。そのせいで妻は嫉妬し、その嫉妬が煩わしい左馬頭は「嫉妬さえしなければ、良い夫でいるのになんで黙っててくれない」と言った。妻は「我慢しさえすればいいとおっしゃるなら、別れるまでです」と言って家を出ていった。左馬頭はどうせ別れられるはずもないと、手紙もよこさず家にも帰らず好き勝手していた。ある日、家へ戻るとまるで自分を待っていたかのように、着物も温めて寝る準備もしてあったので、妻がいるだろうと期待していると妻はいなかった。それどころか「一夫一婦にならない限り戻らない」と言う。そう言われても左馬頭は断固として譲らずいると、妻は精神的にまいって亡くなってしまう。

今思えば、仕事のことも話せたし、家庭のこともきちんと成し遂げていた妻が恋しそうであった。

 

 次に頭中将の話

それほど長い関係になる予定もなかったが、馴れると惹かれ、たまにしか通わないが女の方も自分を信頼するようになった。

極たまにしか通わないのに、それについて文句も言わず穏やかな人だった。そのことについて中将の家のものに嫌味を言われて、中将自身も通わず手紙もよこさずいると歌をおくってきた。「時々には情けをかけて下さいな。この撫子の花(我が子)の上に」と

いざ会ってみると、特に恨みもせず穏やかに接してくれるので安心して帰った。が、しばらく通わずにいると消えてなくなってしまった。

 

源氏はその話に加わろうともせず話を聞くだけで、藤壺の宮に思いを馳せていた。

左大臣の家に帰って休もうとするが、中神の通り路になっていて駄目だと言われ

家従の紀伊きいのかみの家に泊まることとなる。

紀伊守の家には父親の伊予守いよのかみの後妻で紀伊守の妹がおり、先だって話題になってた娘に会いたい思いだった。

その夜中々寝付けない源氏は、娘の居る場所を探って、冷ややかな応対をされるも構わず口説き一夜を明かした。

 

感想

与謝野晶子訳は和歌の解説があんまりないので、少し残念。

和歌の意味を知ろうとしたら、瀬戸内寂聴訳とかを読んだほうがいいのかもしれない。

 

この話は、梅雨の頃また五月雨が降っていた時の話からか

『雨夜の品定め』とも言われているそうな

いわゆる、男たちの恋バナだろうか

あぁでもないこうでもないと

自分たちのことはさておき、女性のことについて花が咲くのは

いつの時代も変わらないのかもしれない

 

肝心の光源氏だが

初めての相手なのにいきなり人妻選んじゃう所が凄い

『自分が人妻じゃないときに出会っていたなら、答えられたかもしれないけども、今はもう駄目です。』

と言って断られているのにも関わらず

泣きながら、『今後どうやってあなたと文をやり取りすればいいのだろうか。今夜のことだけをいつまでも思いながら泣けばいいのか』と答えてしまう。

その後も、娘の弟を使って手紙を送って返事を貰おうとする

女の方はなんとしても返事はよこさない考えで、しまいには居場所も別のところへ移動してしまう。

 

ところで、この題名の「帚木」ははきぎ

だけども、最後の歌にしか出てこない

意味は

近づいても逢ってくれない人、逢えそうで逢えない人の喩え  wikiより

 だそうな

なるほど、女の人を例えた名前だね

桐壺もそうだったけど、通称みたいな感じかな

 

 

源氏物語 02 帚木

源氏物語 02 帚木

 

 

光源氏誕生の話(源氏物語 桐壺 01 紫式部 與謝野晶子訳)

青空文庫 源氏物語 桐壺 01 紫式部 與謝野晶子訳 

あらすじ

のちの光源氏を生んだ母と、父の物語

貴族の生まれではないが、帝に愛されて、桐壺というところに住んでいた女性がいた

あまりにも帝が桐壺の更衣ばかり寵愛するので、桐壺は嫉妬されていた

そんな桐壺に男の子が生まれる

とても美しくまた聡明であったので、だれも文句を言えなかった

ところが、この男の子が3つになった時、桐壺が病気になり亡くなってしまう

桐壺が亡くなってからというもの帝は他の女性に関心がなくなってしまう

ある日亡くなった桐壺によく似た女性がいるという噂を聞いて

帝はその女性を入内させた

帝によくなついていた男の子(のちの光源氏)は帝がよく藤壺に行くので

自然と藤壺の宮に関心がいった

帝も、藤壺に幼くしてあなたによく似た母親を亡くした源氏を可愛がってやってくれ、と頼み、また源氏も母親を亡くした思いから、似ているという藤壺に関心を抱いた

源氏が元服を迎えた頃、縁談が持ち上がり

左大臣の婿になったが、藤壺の宮が恋しくもあった

 

感想

青空文庫版を読んだのだけど、現代語に訳したのが与謝野晶子で驚き

あの有名人が訳していたとは・・・

実際読んでみて、思ったよりは読みやすく

それは新字新仮名のせいかもしれないけれども

楽しめた

 

内容のほうは

後宮入りしたのにある人ばかり寵愛されては、他の更衣たちから妬まれるだろうなぁ

その人しか目になかったのかもしれないけども、帝として桐壺を守るために上手く立ち回ってあげても良かったのじゃないかと思う

自分のことしか考えてない感じした。何様俺様帝様

光源氏は、あれだ

物心つく前に母親亡くして、母というものを知らずに成長したもんだから

母によく似たと言われている藤壺が気になる

母子ともに気の毒な生い立ちというか

でもこれから光源氏は華々しい恋愛をしていくはず

 

源氏物語、長いという印象しかなかったので今まで読んでなかったけれども

一つの話が意外と短くすんなりと読めた

全編で56編あるので

これくらいの長さなら割と読み切れるんじゃなかろうか

ちなみに桐壺は18ページあった

 

源氏物語 01 桐壺

源氏物語 01 桐壺

 

 

ホワイトタイガーと少女が呪いを解くファンタジー(白い虎の月 タイガーズ・カース・シリーズ)

白い虎の月 タイガーズ・カース・シリーズ1作目

あらすじ

両親を亡くした少女・ケルシーは夏休みの間働ける場所を探していた

相談所で紹介されたのが、サーカスでのバイト。2週間限定の虎の世話と雑用を住み込みでやるというもの。

初めてホワイトタイガーのディレンを見た時、特別な感情が湧き困惑するケルシー

ディレンにどこか惹かれ、「レン」という愛称を付け、何かにつけてはレンのそばで

日記を書いたり詩を読んだりしていた。

ところがある日、紳士風の男性がサーカスを訪れ、レンをインドの保護施設で暮らさせたいと申し出があった。

インドまでの輸送に何故か、ケルシーまで同行することに

その際中、レンとケルシーはジャングルに置き去りにされ・・・!?

 

感想

とっても残念なのが、2作目までしか刊行されていないということ

原作は4作あるので是非とも続きが読みたい所なのだが

どうなんでしょう ヴィレッジブックスさん・・・

特設サイトを当初は設けたくらいだしなぁ

 

肝心の本の感想

まぁ モフラーとしては大変満足できる

ケルシーうらやましい

本来は人間だから、万が一にも襲われる心配はしなくていいはずなので

存分にもふられる訳で

実際、レンから甘えられるというか、もふもふしている

 

設定も、本来はインドの王子様とのラブストーリもあり

謎解きもあり冒険あり

全編で577ページもあるけども、飽きさせない作りになってるはず

 

翻訳物で、途中で翻訳されなくなる本は結構あるのだろうか

あるのだとしたら、残念だなぁ

原著で読めるようになれば良いけど(遠い目) 

 

白い虎の月 タイガーズ・カース・シリーズ#1 (タイガーズ・カース・シリーズ # 1)

白い虎の月 タイガーズ・カース・シリーズ#1 (タイガーズ・カース・シリーズ # 1)

 

 

銭形平次捕物控 金色の処女 野村胡堂

言わずと知れた銭形平次の物語第一弾

あらすじ

三代将軍家光が何者かに命を狙われた

鷹狩をしていた家光を、矢がかすめたのだ

しかもその矢には『トリカブト』が塗ってあった

その犯人を平次に突き止めてほしいと

奉行所の笹野に頼まれる

 

感想

 短編(19ページ)なのでさらりと読める

銭形平次のあだ名となった所以や

まさに銭を使って、相手を討ち取るシーンなど

目白押し

 

旧字旧仮名とあって多少読み辛いのが難点だが

致し方あるまい

 

 

 

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