ブロードキャスト 湊かなえ
あらすじ
中学3年生、駅伝の県大会で1位のチームに18秒差で負けた。
エースの良太は怪我をしていたことが原因でチームから外されて、かわりに癌を患った父を持つ田中が選ばれた。
小学校の時から良太に憧れていた俺は、不本意ながら長距離選手に選ばれて県大会まで出たというのに負けてしまった。
そして高校。
エースの良太はスポーツが有名な青海学院から推薦が来ていた。俺・町田圭祐にも一緒に青海学院を受けようと誘われる。
高校でも陸上部を続けようとしていた矢先、圭祐に悲運が襲う。ひき逃げにあい足を負傷、左足にはボルトが入っていた。
どこにも部活動は所属しないつもりだった圭祐のもとに、脚本家を目指しているという宮本正也が圭祐の声をいい声だと褒めて、放送部に入らないかと言ってきたのだった。
熱心に放送部に入ろうと勧められ、また自分の作るドラマには圭祐が必要だと口説かれる。あれ以来なんとなくギクシャクした関係になった良太と話していた時、正也がやってきて陸上部に入れなかった見栄からつい、放送部の見学に行くと口ずさんでいいたのだった。
感想
はじめはあまり本気でなかった圭祐。
それも正也の熱と本気度に魅せられ、陸上でやってきたことが無駄にならないことを言われて勇気づけられた。
放送部のメンバー、3年生の女子5人。
正也がボイスドラマを作ってきた場面での1コマ。
3日で作るという宣言通りにし、また同じメンバーの久米咲楽がいじめにあってる現状を無くしたい思いから作った作品「ケンガイ」
それに対して、兄妹ではなくて男女の恋愛があったほうがいいだの、男子生徒同士の萌について語るなど、真剣でない様子。がちょっと嫌悪感を抱いてしまった。
この3年生女子5人と2年生が若干対立気味で最後まで揉める。
思春期独特の揉め事感。3年の部長が諌めたり、他の3年も揉めるだけではなく、新たな提案などをするのだが、いささか揉め事が起きるきっかけがチープだった。
小説ならではのネタバラシというか、実はこうでしたという展開があって笑ってしまった。
後は、最後にエースの良太が県体から外された本当の理由が圭祐から語られる。そこはミステリ風味だった。
後味は青春小説ならではのさっぱり感。
いじめを受けていた咲楽にも圭祐が頑張ったおかげで回復の兆しが見えてきたし、めでたしめでたしで終わった。