源氏物語 少女 21 角田光代訳
あらすじ
光君の息子・夕霧の幼い恋
藤壺の一周忌が過ぎた。
人々の衣装も喪服から通常の衣装にかわり、ちょうど夏の衣替えの時期なのではなやいで見える。
前年に父を亡くしていた前斎院(朝顔の姫君)。光君から女房の宣旨のところに心遣いの品々が届く。至極まっとうなまじめな手紙も一緒で、突っぱねるわけにもいかず困る女房。
同じく叔母の元へもお見舞いの品を送るので、今まで子供と思っていたが、こうして折々に心遣いをしてくれるなんて立派になった。と感心している。
そうして叔母は姫君に会う時に、正妻である葵の上も亡くなられたし、あなたが正妻になってもよいのです。光君も熱心に誘っているのだし。と言うが姫君は取り付く島もない。
葵の上の生んだ若君・夕霧の元服の準備を進めている光君。
二条院でしようとおもっていたが、祖母である大宮が楽しみにしているので、亡くなった太政大臣の邸で執り行うことにした。
光君ははじめ若宮を四位にしようかと考えていたが、いきなり高位を与えるのも世間ではしないかと思い六位と定めた。
祖母が六位について不満に思いそのことを光君に伝えると、大学で勉学を学ばせたい。名門の子弟として生まれ恵まれて育つと、学問などまっぴらだと思いつけ上がってしまうのです。何かあった時に役立つのはやはり学問だと思うのです。今は気に入らないでしょうが、私が亡くなった後も立派になってもらいたいので安心してください。と伝えた。
そうして若君は大学の試験を突破したのだった。
正式に冷泉帝の后を決める運びとなった。光君は藤壺の遺言にかこつけて斎宮の女御をと勧めていた。しかし弘徽殿女御が先に入内していたこともあり、また兵部卿宮の娘も入内しており、誰を后にするのか競い合った。最終的に斎宮の女御が后となった。
内大臣の娘は弘徽殿女御の他にもうひとりいた。その母親は、按察大納言と再婚し現在は多くの子供がいた。内大臣はその娘を引き取って、大宮に預けていた。
若宮はこの姫君と同じ邸で育ったのだが、10歳を過ぎる頃には部屋は分けられていた。2人は離れて暮らしていたが、若宮は幼心に姫君を好ましく思わないでもいた。何かにつけて遊ぶ際には一緒に遊び、姫君もまんざらでもない様子だった。
そんな2人の恋が内大臣にバレて・・・
感想
幼い幼いと言うので10歳そこそこだと思ってたら、14歳くらいなんだね姫君。
若宮はいくつくらいかなぁ同じくらいだよね。その頃、つまり初恋かな
自分の位が低いからって内大臣に引き裂かれて、おまけにいとこだし。
舞姫に姫君に似てるからってちょっかいかけてしまうし。自分の位にも不満でふてくされてたし。
そして光君は邸を二条邸から六条に新築の邸を作って。
花散里は若宮の世話をしていたけれど、目が肥えた若宮に散々な言われようだった。美しくなくても妻にするには優しければいい。とかなんとか。
圧倒的ボリュームで読むのに苦労しましたが、源氏物語の世界観に入っていきやすく面白かったです。
与謝野晶子訳よりは断然読みやすく、注釈もないので割とスムーズに読めたと思います。
といっても600ページを超える長編ですから、それなりに時間がかかりました。
続く中下巻も楽しみです。