『蜜柑』芥川龍之介 乙女の本棚
まぁまずは一回物語の内容を噛み締めながら
そしてげみさんのイラストを照らし合わせながら読んでほしい
そうすると、主人公の物憂げな心象が手に取るようにわかる
『蜜柑』というタイトルの意味を探しながら
読み進めていたのにもかかわらず、イラストの色彩と光の明暗が実に素晴らしく
目を奪われてしまうから
肝心の小説は、冬の日暮れ一人の男性が列車に乗り込み
憂鬱な独白でその情景や内心が語られ、もうひとりの乗客である少女が乗り込んできたことで男性の興味はそちらへ移る
終始二人きりの車内で、男性は少女を観察していくわけだが
ラスト、それまで感じてた少女への印象が変わるシーンもイラストと共に楽しんでほしい
そうして2度目
もう話の内容が頭に入ったとはいえ、再度細部に渡るまでじっくりと文豪の文章を味わっていると
今度はフォントに目が止まる
はらいの部分が長く、とめもしっかりあり
全体的に丸く
どこか女性的なフォント
文字を眺めているだけでも楽しめる
『乙女の本棚』というシリーズものなので、女性に受け入れられやすくしてあるのかもしれない
その他のシリーズも手にして読んでみたくなる
1,295冊目
『蜜柑』芥川龍之介+げみ(乙女の本棚)でした