広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

人生いろいろ(春待ち雑貨店 ぷらんたん 岡崎 琢磨)

春待ち雑貨店 ぷらんたん 岡崎 琢磨

春待ち雑貨店 ぷらんたん

げみさんの表紙だったから軽めの本かと思って読んでみたらしょっぱなから重めの内容だった
悪いわけではなく、重厚感溢れる感じが終わりまで続いて、一章ごとに休憩を挟んで読んだ

 

あらすじ

ターナー症候群という子供を授かることが難しい雑貨店ぷらんたんを経営する巴瑠が、付き合って半年の恋人にプロポーズをされる。以前付き合ってた恋人に打ち明けた所振られてしまったのがネックで打ち明けるかどうか悩んでいた。そんな女性の前に、耳たぶが片方欠けている女性がぷらんたんを訪れる(ひとつ、ふたつ)


ぷらんたん常連客・未久。いつも辛いことがあったときに訪れると店主の巴瑠から言われる。そんな未久は付き合っている男性がいた。地元福岡に恋人を残して1人上京してきた未久。休みの度にバイトでためたお金で帰り彼氏に会う日々。自分を地味だと事あるごとに揶揄する未久。(クローバー)

 

巴瑠の彼氏の友人友則が付き合っている彼女について相談にやって来る。付き合って3ヶ月になるが抱かせてくれないという。何も抱くことだけが愛ではないけれども、抱きたくなるのは自然のこと。もうちょっと待って欲しいという彼女は、何か隠している様子で・・・(レジンの空)

 

ぷらんたんは、親戚のガレージを間借りして経営している。その親戚が今度息子夫婦のもとで暮らすため、ガレージもろとも家を売りに出すから、巴瑠に出ていって欲しいと告げる。突然のことに恋人の一誠にも相談。いざとなったら結婚して俺が家を買うという一誠に考えさせて欲しいと頼む。そんな矢先ぷらんたんで相次いで不良品が出てしまう。(手作りの春)

 

感想

『ひとつ、ふたつ』でプロポーズされて、最終的にはOKするけどラストまでその答えひっぱっても良かったんじゃないかと思う。だってそれだけ重要だし、決めかねる問題だし。心の動きが早いなって思った。
ターナー症候群で子供を授かれない巴瑠と無精子症の一誠。ぴったりだと意図することとは別の所でひっかかった巴瑠。分かってくれるはずの存在だと思いこんで、じゃあそうじゃなかった時どうなるか。確かに違うと思った。巴瑠の畏怖する気持ちがわかった。だからこそ、もう少し気持ちの整理がついてからOKしたら良いのではと思ったのだった。

『クローバー』は自分に自信がなくてだめになっちゃったのじゃないだろうか。彼氏に会うためにバイトのに明け暮れて、もうちょっと自分を大事にするために余裕を持った恋愛これからしてもらいたい。

『レジンの空』は、許すまじ宝田。抱いた証に痕を付けるなんて、コレクターか?おまえ。最低野郎だ。一誠がめったに怒らない一誠が怒るのも当たり前だ。大事にしてやれ、友則よ。

『手作りの春』胸が痛いこういう不良品で大事な場所が奪われそうになってしまうなんて。人を傷つけて奪うなんて胸くそ悪いことして。何食わぬ顔でぷらんたんにアクセサリーを納品してた理香子。腹立たしいというより残念だ。巴瑠の優しい気持ちを利用して、めぐまれていることに気付かない。

 

軽い内容でサラッと読めるもんだと思ったけど全く違った。
心に波紋を投げかけるそんな作品だった。

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