ファーストラヴ 島本理生
あらすじ
タイトルのファーストラブを付けた意味はなんだろう。
恋愛小説ではなかった。
加害者である女性のはじめての恋だと思おうとした男性。全てはその頃から歪みだした。
自分を嘘つきだと言い、周りの人間も彼女を虚言癖のある感情の起伏が激しいと称す。
だが、嘘つきというのは間違いだった。
幼い頃から、画家の父親にデッサンのモデルを頼まれて、全裸の男性と背中合わせになる状況。自分は服を着ていたが、母親譲りの美貌で周りに注視される。デッサンの場には多数の男性生徒達がいた。
モデルになるのが嫌で傷つけた自傷行為の跡。その痕のおかげでモデルをやらなくていいと父親から言われた経緯。
母親は父親のいいなり。
自傷行為の跡も気持ち悪いと言われる始末。
両親から愛情を受けたいためか、自分の本心とは違う母親の望むことを優先し結果嘘つきとなる。
だが、臨床心理士の由紀との面談のなかで正されていく本当の自分の気持ち。自分の心の声を意思を伝えれるようになっていた公判は見ものだった。
画家である父親を、アナウンサーの面接の後殺害した容疑で逮捕される聖山環菜。
彼女の半生を臨床心理士の立場から本を書くことになった、真壁由紀。
次第にあらわになる環菜の家族環境と生い立ち。
彼女は本当に父親を殺害したのか?
第159回直木賞受賞作品