広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

不思議な魔女と呼ばれた人と少女の話(ルリユール 村山早紀)

ルリユール、それは本を修復する人

不思議な魔女と呼ばれた人と少女の話

 

あらすじ

中学1年生の瑠璃は夏休み、祖母の家に一足先に遊びにやってきた

しかし、肝心の祖母は階段から落ちて入院中

そんな折、祖母宅で不思議な夢を見る

怪しげな洋館で真っ赤な髪をした女性と出会う

実際洋館があった場所に行ってみると、そこはルリユールの工房になっていた

どんな状態の本でも元通りにしてみせるというクラウディア

それは魔法としか言いようのない修繕方法だった

 

感想

魔法、それは素敵な言葉

人の手によって修復する本は限界がある

それが魔法で元通りに出来たらなんと素晴らしいことか

またそれだけではなく、文庫本を装幀し直す技術

第二章『星に続く道』に出てくる本たちがキラキラした目線で描かれていること

本好き、装幀も含めて本が好き、むしろ本を選ぶ基準は装幀かも

な私にはときめくポイントだったりする

 

魔法と言っても、本を修復する上での知識や技術はあった上で

どうしても人の手では出来ない部分を、魔法と呼ばれる方法で行ってたかも・・・?

という印象

 

まだまだ、掘り下げていけそうな部分はたくさんあると思うので

『ルリユール』の続編があるなら読みたい

 

 

ルリユール (ポプラ文庫ピュアフル)

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精霊と共にアンティーク店を再開(アンティークFUGA1 あんびるやすこ)

あらすじ 

ある日突然姿を消した両親

残されたのは中学1年生の風雅とコルノというペンダントだけ

このペンダント、一生に一度だけ願いを叶えてくれる精霊が出現するという

ひょんなことから精霊を呼び出してしまった風雅は

お願いとして精霊に「兄」になって欲しいと頼む

「兄」のシャナイアとともに、両親が残したアンティーク店を再開することに・・・

 

感想

結局の所、両親が居なくなったことの原因とか

判明されなかったわけだけど

それはこれがシリーズ物だったからかしら

 

とまぁさておき

本編

著者は児童書で有名な人らしい

主人公が中学生ということもあり、その年代を対象にしている感はある

というか元は児童書みたい

 

読みやすくて、アニメとかにしたらいいんじゃないかと思ったり

美形の精霊なんて映像化しがいがある

 

日本の時代物で付喪神が出てくる小説とかあるけど

この作品は、海外のアンティークなんで、出てくる付喪神も総じて外人さん

そんなところも映像で見てみたい気もする

 

アンティークFUGAの公式サイト

アンティークFUGA(あんびる やすこ)

 

アンティークFUGA 1 (角川文庫)

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イエスマン “YES”は人生のパスワード

あらすじ

ノーが口癖の銀行員のアレン

妻と離婚し3年、全てに嫌気が差していた

大事な親友の婚約パーティーもすっぽかし

そんな時友人に勧められたYESマンのセミナーに出席

主催者テレンスにアレンの人生そのものを当てられ

イエスの誓約をたてさせられる(半ば無理やり)

半信半疑ながら「イエス」と答えていくと・・・

 

感想

あるテレビでオードリーの春日が海外で「イエス」と応える旅があって

それを観てたら、この映画を観たくなったので選んでみた

現実世界ではちょっと無理があるイエスマン

でも、何事にも後ろ向きではなく前向きに取り組んでいこうという

解釈ならいい結果を生むんじゃなかろうか

 

主演、ジム・キャリー。マスクでも有名な俳優さんですね

声優、山寺宏一。最初は違和感あったけど、映画が展開していくうちにぴったり馴染むようになっていった印象

 

原作者の方がインタビューに答えていたのでリンク貼っときます

builder.japan.zdnet.com

 

getnews.jp

 

 

イエスマン “YES”は人生のパスワード 特別版 [DVD]

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突然婚約者に振られたら・・・?(ビオレタ 寺地はるな)

あらすじ

突然婚約者にふられた妙

雨の中しゃがみこみ、泣いていると声を掛けてきた女性がいた

それが、『ビオレタ』の店主菫さん

彼女に導かれるまま店で介抱され、しまいには何故か店で働くことに

菫さんが手作りした、かわいらしいキラキラした雑貨たち

それと、棺桶

菫さんと関わることで何かに気づき始める妙

 

感想

 「棺桶」という単語の本の紹介文に引き寄せられて

手にとった本

結果的に、「棺桶」はメインの話ではなかったけれども

名脇役的な位置にはいたと思う

菫さんに関わることで、見えてきた自分の足り無さ

婚約者にふられた理由とか、仕事のこととか

性格的な面もそう

妙の成長物語でもある

 

第四回ポプラ社小説新人賞受賞作

 

ビオレタ (一般書)

ビオレタ (一般書)

 

 

女性騎手の話(風の向こうへ駆け抜けろ 古内一絵)

あらすじ

たった一人の女性騎手訓練生の主人公が騎手学校を卒業する場面から始まる

優秀な成績で努力家の主人公はスカウトされ卒業後、広島の鈴田競馬場にプロジョッキーとしてデビューすることとなる

ところが、この鈴田競馬場というのが曲者で・・・

厩務員が4人。一人は関西弁の兄さんに80を過ぎたと思われるご老人に昼間っからアルコール臭を漂わせているオヤジに極めつけは謎の美少年ときた。

おまけに扱う馬たちも曲者揃い

ツバキオトメは人間で言うと70代、スーパーポポロンは臆病でなにかとびくつく、ベルフォンテーヌは気難しく言うことを聞かない時がある

 

そんな中、なんとか勝ちたい主人公だが・・・

 

感想

読んでて頭をよぎったのが、銀の匙でのワンシーン。

2期の3話あたりラストの先生の語り

 

この話の本編では

セオリーよりも技術よりも本当に大事なのは、その馬の性質をつかみ、馬一緒にレースを考え、より馬が走りやすいようにしてやることだ。

このあたり

命令は受けない。でも、合図なら受ける

 

とか

馬<人間  の力関係でなくて 馬>人間

なんだなぁとしみじみ感じた

 

 

風の向こうへ駆け抜けろ

風の向こうへ駆け抜けろ

 

 

幽霊になってしまった女性の話(アゲイン 村山仁志)

ラジオ局シリーズで幽霊に関する話を書いていた村山さん

ついに幽霊視点のお話が出来たか

という読む前の印象

以下あらすじと感想

 

あらすじ

目覚めた時、自分が何者かも分からずてっきり生きていると思っていた主人公

だが、人が自分の体を通り抜けたり、周りの人にいくら話しかけても通じないことから

自分が幽霊になってしまったことを悟る

覚えているのは「今日が特別の日」と「愛する家族がいる」ということだけ

その他の情報といえば、自分が身にまとっている物

キャリアウーマン風のスーツ、アウトドア使用のデジタルとアナログ表示される腕時計

腕時計は午前8時10分を指し、日付は7月✕✕日つまり今日の1ヶ月まえが記されていた

 

なにか自分を思い出す手がかりがないか、地道に行動範囲を広げていくが・・・

 

感想

読み終わった後にタイトルの意味を知って、あの感動は何だったんだろうという思いと、あぁこれで良かったんだと言う思いがせめぎ合っていた。

 

でもよくよく考えてみると

『もうひとつの世界』と副題があるし

幽霊になった主人公がいた世界と、『もうひとつの世界』はパラレルワールドであって

それってつまり、うーむ

 

「今日が特別の日」というのは『もうひとつの世界』がないと説明つかなかったし

何度も彼が悔いてた原因もわかった

とっさに必要ないんじゃなんて思ってたけど、重要な章だった

 

 

アゲイン~私と死神の300日~ (TO文庫)

アゲイン~私と死神の300日~ (TO文庫)

 

 

花火に魅入られた男の一生(空に牡丹 大島真寿美)

花火に魅入られた男の一生(空に牡丹 大島真寿美

夏なので読んでみた

 

あらすじ

一族に代々語り継がれる人物がいる

何か偉業を成し遂げたというわけでもないのに

静助さんの話だけ伝わっている

 

時は明治の話

静助さんは丹賀宇多村の名主・可津倉家庄左衛門の息子

後妻粂との間に生まれた子であった

先妻よしと庄左衛門には欣一という一回り年の離れた兄がいた

 

丹賀宇多村には今まで寺子屋がありそこに静助は通っていたが

”ご一新”のため学校ができ静助も行くことになった

だが、性に合わないことと、寺子屋の向陽先生を慕っていたことで

寺子屋に通い続けることとなる

 

ある時、幼なじみの了吉からある蔵の存在を知らされる

そこには鉄砲が隠されているらしいと

興味津々の二人は、いつの間にか仲良くなっていた寺子屋の仲間、

琴音の仲介により蔵の住民と出会うことに

それにより、静助の運命が決まることになるのだが・・・

 

感想

花火に魅入られた静助だけど、めぐり合わせもあったんじゃないかな

たまたま、花火師の杢さんが村にやってきて住み着いたことや

花火の材料を金に糸目をつけずに揃えられた環境

次男坊という跡目を継がずにいられるという気楽さ

様々な要因が静助を花火フリークにさせた

まぁそれにしても 花火以外に興味がなさ過ぎるところが

男女のあれこれに全く気付かないとことか

跡目を継ぐ才能はそこそこあるのに儲けようとする精神が薄いところとか

それがかえって、語り継がれるような人物となった所以かもしれない

可津倉家が立ちゆかなくなっても、奉納花火を続けられたのは

ひとえに村人たちの思いやりの心であり、静助の人柄が村人たちに愛されていたからだと思うのである

そんな静助の一生を綴った物語が「空に牡丹」

一年中花火の音が鳴り止まない村でのお話でした

 

空に牡丹

空に牡丹

 

 

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