広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

現代が舞台のファンタジー(宝石鳥 鴇澤亜妃子)

宝石鳥 鴇澤 亜妃子

宝石鳥

あらすじ

第二回創元ファンタジィ新人賞受賞作品

ですので、内容はファンタジー。ただ、現代が舞台で伝承の事項が実際に起きる、というファンタジー

シリーシャ島という島に伝わる言い伝え。それは宝石鳥という神の遣いが人間を厄災から逃れさせるために、連れてきた島がシリーシャ島である。そして役目を終えた宝石鳥が卵を生んで、そこから生まれた双子の姉妹、ジェオウド。ジェオウドは現在村を治める立場の人間になっており、ジェオウドの代替わりの儀式カーシュ・ルフで交代する。ジェオウドは血縁関係で受け継がれていくものではなく、青鷺という名の役割を持つ人物がジェオウドを見出してジェオウドになる。青鷺はジェオウドを夢で予見し、探しにいくのである。

登場人物は、過去の話として宝石鳥と呼ばれる妻とヴォージン伯爵に妻の肖像画を描かせようと依頼した画家のショーン、妻に故郷から付き添っていた青鷺。

そして現代、シリーシャ島周辺の島が故郷の妻を結婚数年で亡くした作曲家の真狩。行方不明になった婚約者サイアンを探すためにシリーシャ島へやって来たシオラ。シオラを案内するサイアンの調査チームの1人でシリーシャ島周辺の島出身のシーヴァ。

 

感想

特に、過去の話のショーンと宝石鳥と呼ばれた女性の話が印象的

後は、行方不明になったサイアンを探すためにやってきたシオラ、サイアンの死を受け入れず痕跡を辿るシオラに強さを感じました。反対に弱さを感じたのが、作曲家の真狩。最愛の妻を亡くして、ぬけがらとなってしまった真狩。作曲家を引退すると言い残し、妻の故郷へと遺骨を持って居なくなります。妻から聞いた、魂が戻るという儀式をしに故郷までやってきた真狩。彼の危うさに儚さを感じて、立ち直ってほしいと願わずにはいられなかったです。

画家のショーンと宝石鳥の肖像画を描いている間の物語が、幻想的でファンタジーでした。怪奇現象でもあるかも。シオラは絵画研究をしておりこのショーンのことも知っていた。そしてサイアンが最後に見たものもショーンの絵画だった。

この作品は、ページ構成が2段組になっていて300ページ強もあるので、とても重厚感溢れる感じ

読み終えるのが心配になるくらいの文字数でしたが、なんとかくらいついて物語後半になっていくと、登場人物達が次第に集合していきラストへと物語を加速させます

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