十角館の殺人 綾辻 行人
あらすじ
館シリーズ第一弾。
K大学ミステリ研究会のメンバー7人が訪れた孤島・角島。
半年前、建築家・中村青司によって建てられた通称・青屋敷が全焼。焼け跡から中村青司と妻の和枝、住み込みの使用人夫婦の計4人が死体で発見された。
同じ島に建てられた十角館に学生たちは一週間滞在することになるが、やがて連続殺人が起き・・・・
登場人物は他にもいて、中村青司の弟・紅次郎と友人・島田潔、元ミステリ研究会の部員、江南孝明、ミステリ研究会の部員、守須恭一。島田がいわば探偵役だろうか。物語の核心部分にまでせまる。
十角館とこちらの島田側の話が混ざり合って事件の全体像が見えてくる。
何せ、紅次郎と江南、守須の所と十角館へ行ったメンバーの元に何者からか「お前たちが殺した千織は私の娘だった」と手紙が届いたのだった。千織というのは中村青司の娘で、ミステリ研究会の部員だったが、新年会の三次会の席上で亡くなったのだった。
一方、十角館では殺人の予告とも取れるある物が出現していた。
感想
十角館のメンバー7人は絶えずあだ名で呼び合っていた。ミステリ研究会になぞらえて、エラリイ、カー、ルルウ、ポー、アガサ、オルツィ、ヴァン。そのあだ名の使い方が上手い。だから最後の方まで犯人が分からなかった。そもそも犯人が十角館にいたメンバー7人のうちにいるとは思えず、外部にいると思っていた。というのも、中村青司がまだ生きているかもしれなかったからだ。はたまた弟の紅次郎か?と一瞬頭をよぎった。動機はあったしね。動機と言えば、真犯人の動機もありきたりで単純だった。ただ、真犯人ととある人物の関係性が明らかにされていなかったから、そこは伝えて欲しかったなと思う。
滑稽なのは冒頭で、犯人が自分の殺人方法を綴った紙をボトルに詰めて海に流すのだが、ラストでそれが犯人と探偵の目の前に流れ着くというのがもう・・・悪いことは出来ないと、暗に神様に言われているようなものですよ・・・
後、余談だけど、本文図版に奥さんの小野不由美さんの名前が載っていて驚いた。更にメイントリックは小野さん発案だとあとがきに書いてあったので、二重に驚き。