同潤会代官山アパートメント 三上 延
一つのアパートを舞台にしたある一家の話
あらすじ
大正のころ
地震で妹を亡くし、悲しみを感じられなかった八重
ある時、妹の嫁ぐ際に用意していた着物を譲ってほしいという親戚が現れる
確かに物が足りないご時世、誰かに使ってもらったほうがいいのかもしれなかった
だが、八重は着物を庭に投げた
くやしかった
それを見ていた妹愛子の婚約者竹井が泣いていた
それを見て八重は竹井と自分が似ていることを感じた
年号が昭和に代わりそれまでも家に通い続けていた竹井から、叔母を通じて結婚を申し込まれた
申し出を断ろうとも考えたが、節操を守った竹井の態度は好ましく、似たような気持ちを抱えた者同士、静かに寄り添っていくのも悪くない気がした
そして新居に竹井が選んだのは鉄筋コンクリートでできたアパートメントだった
日々を馴れない新居で暮らしていた八重
ある時、竹井の引き出しの中に妹愛子からの手紙を見つけてしまう
どんなつもりで竹井は愛子からの手紙をしまっていたのだろうと考えると気が重かった
はたして竹井の想いとは
連作短編集で、竹井と八重の一家の人生を切り取った話
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感想
竹井がなぜ最新のアパートメントを選んだか
なぜ、愛子からの手紙を持っていたのか
それを知った時、寡黙な男の愛を知った
無口な八重や進が自分と重なって、進が初恋から脱して結婚した時は安堵した
兄に先を越されても、くそーっと言うだけでちゃんと乗り越えられる進に好感
兄弟揃って告白の文章が一緒っていうのも笑えてしまう
微笑ましい
その兄弟のボヤ騒ぎ
火事にまでなってしまって、とんでもないことをしてしまった
あの幼い頃って火に興味が出るのはなんだろうな
私も幼い頃火遊びに興味があったよ
アパートを増築する話があったけど
アパートって増築していいんだ、てか出来るんだ
1階から3階まで自分たちの物だから変にはならないんだろうけど
珍しい