愛なき世界 三浦しをん
読売新聞で連載されていたらしい、愛なき世界
私にはちょっと堅苦しい印象
何故って全編に渡り、研究の専門用語が飛び交っていたからだ(といってもわかり易いように説明はあるが)
高校時代に勉強した生物のメンデルの法則が出てくるが、そこまでしか理解が追いつかない
果たして読売新聞の読者たちはどこまでこの研究を理解していたのだろうか
あらすじ
ことの始まりは、洋食屋に務める藤丸が近くのT大理工学部松田研究室に配達をしたことがきっかけである。
そこで植物・シロイヌナズナを研究している女性・本村と出会う。
円服亭によく訪れ、さり気ない気配りをしていた女性だと気付く。
着ていた気孔のTシャツの話題から、本村の研究に話が移り、藤丸は本村の研究している実験を実際にチャレンジさせてもらえることになる。
職業料理人だからか手先が器用で、実験も上手く出来た藤丸。シロイヌナズナの細胞を数えるために顕微鏡で覗いたきれいな世界。そんな世界を毎日覗いている本村。別な顕微鏡でもっときれいに見えることを誘われ、気づかぬうちに微笑むとB号館を後にするのだった。
感想
まったくの素人である藤丸と私の目線はおそらく一緒だろう
不可解な言語を話し、それでもきらきらと楽しそうにする本村に惹かれる
理系の生物が得意な人ならもっとこの本を楽しめるだろうなぁと思う
でもそれでも、伝わってくる本村のシロイヌナズナへの愛、知りたい欲求は十二分に伝わってきた
恋愛というより、愛とはなんぞやみたいな
恋愛に興味がないと言いつつも、藤丸の良さを接していく中で見つけたりする本村
愛せないわけではない、人を
あれだけシロイヌナズナに愛を注げるのだから
他の研究室のメンバーも個性的
サボテンのトゲを透明にする研究をしている加藤
同じシロイヌナズナをテーマに研究している岩間
殺し屋みたいな外見をしている担当教授・松田
『緑の指』を持っている加藤と松田先生は印象的
なんでも、植物がすくすく育ったりする才能の持ち主のことを言うらしい
植物学者にとっては、嬉しい才能
この才能が仇となって、隣の研究室、芋を研究していた諸岡先生の怒りを買うことになり、後に松田研究室のメンバー総出で芋掘りをするシーンがなんだか和やかだ
男女の恋愛としては、ほのぼのと過ぎる日々と
リケジョの研究熱を表した作品でした