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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

ノンフィクションエンタメ小説(バッタを倒しにアフリカへ 前野ウルド浩太郎)

バッタを倒しにアフリカへ 前野ウルド浩太郎

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

ノンフィクションエンタメ小説

バッタ愛が止まらない、バッタに食べられるためにアフリカへと単身研究に行った著者の話

まず、まえがきからして面白い。言葉の選び方や記述の仕方がクスッと笑いをさそう文面なのだ。それに著者自身のバッタ愛がすさまじい。なんせニュースで女の人が緑の服を着ていて食べられたということを知るとその女性を羨ましく思うのだ。昆虫があまり好きとは言えない私からしても信じられない。だが、本文を読んでいても実際の写真を乗せてあるのだが(バッタにまみれている)それを見てみても、著者のバッタ愛が伝わってくる。

 2018年のキノベス、紀伊國屋書店の店員が全力でおすすめする本にも上がっていた通りの面白さだった。300ページ超えの本作がスルッと読み終えてしまえるくらいには面白かった。それに、研究者の本というと気難しい言葉や記述が思い浮かぶが、本作は全くそういったことはなく専門用語も出るといえば法人とかそういった団体の名称くらいで、他はバッタ初心者にもわかりやすい言葉が使われ単純に読み物として読みやすい物となっていた。

 

面白い面白いと、言っているが別にジョーク満載なわけではなく、本人は至って真面目にバッタを追い求め研究するのである。だが、その道中や仲間たち、研究しようとする過程が何故がユニークに映り笑いを誘うのだった。

 実際のバッタ研究は、はじめの頃しかバッタが現れず大干ばつにみまわれて肝心のバッタが現れず研究できずに、ゴミダマというフンコロガシみたいな昆虫を研究せざるを得なくなったり、フランスでバッタ研究の誘いを受けて訪ねたら予定外のバッタ大量死が待っていたり、前途多難な中著者は試行錯誤を強いられる。

 「事実は小説より奇なり」とは誰の言ったことか、不思議とは言えないが未知の世界を垣間見れた。ノンフィクションなのに、ここまで読ませるのはやはり著者の文才が良いからだと思う。ちょっと笑いの足りてない方にはおすすめする。ただし、虫の写真が苦手な方にはおすすめしない。

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