活版印刷三日月堂 雲の日記帳 ほしおさなえ
活版印刷という存在を教えてくれたシリーズも本作で完結となる。感慨深い。
なんとなく、この三日月堂のシリーズはこれから先も続いていくものだと思っていた。だから何気なく裏表紙のあらすじを見た時に驚いた。
けども読み進めていくと、三日月堂はもうおぼつかない足取りをしていた赤ん坊ではなく、ひとり歩きが出来るようになっていた。
シリーズ1作目で、三日月堂にコースターを依頼した珈琲店・桐一葉の物語でたった一人で作業していた店主・弓子。シリーズを通していく中で三日月堂を手伝ってくれる人々も出来た。高校生でイラストが得意な楓、三日月堂の平台を直すことがきっかけで手伝うようになった、印刷所の島本悠生(ゆうき)。彼らにもそれぞれ三日月堂に関わる物語があった。
シリーズ4作品目となる今作でも、三日月堂に関わる人々の物語は変わらない。
【星をつなぐ線】
印刷所に勤める長田(おさだ)とプラネタリウムに勤める村岡の星座早見盤にまつわる物語
【街の木の地図】
大学のゼミの研究で街をテーマにした雑誌作りをすることになった3人の物語。気の合わない問題児ばかりだと思っていた豊島。病気がちな安西。遅刻魔だが、自信家でマイペースな草壁。
【雲の日記帳】
古書店・浮草を営む店主・水上。彼が発行している「浮草だより」の「雲日記」を出版しようとする物語。
【三日月堂の夢】
これまでの話を受け継いで、新たな三日月堂の将来のビジョンに向かって動き出す。登場人物も【街の木の地図】【雲の日記帳】そしてシリーズで登場した人物も加わって、にぎやかで活気ある三日月堂。
弓子と悠生の関係性にも変化が・・・!?
もう少しこのシリーズを読んでいたい気持ちも、最終巻を読むまであったが
一区切りつけるという点では、これで終わりにしても良かったのかなっと思う
シリーズ1作目の記事はこちらからどうぞ