広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

花散里の登場(源氏物語 花散里 11 角田光代訳)

源氏物語 花散里 11 角田光代

源氏物語 上 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集04)

あらすじ

亡くなった桐壺帝の妃のひとりであった、麗景殿女御(れいけいでんのにょうご)という人は、皇子や皇女もおらず院が亡くなってからは光君の庇護によって暮らしていた。麗景殿の妹である三の君とはかつて宮中で逢瀬をかわした仲だった。

ある時光君が三の君に会いに行こうとしたところ道中、中川あたりを通りかかった。そこには一度通ったことのある女の家があるところだった。あれからずいぶんと時が経ったが、通り過ぎる事もできずにためらっていると郭公(ほととぎす)が鳴く。まるで誘っているようだったので、惟光を先に入れると、誰だかわかりませんとしらばっくれた返事が帰ってくる。確かに随分久しぶりだからわからないふりをするのも分かる。と思い引き下がった。

三の君が居る麗景殿の部屋を訪れて、麗景殿と亡くなった桐壺帝との思い出話をしているうちに夜が更ける。女御は年齢を重ねているがあくまで奥ゆかしく、気高く愛らしい人である。昔のことを思い出した光君は思わず涙ぐむ。

三の君が居る部屋を訪れる光君。あまり頻繁に訪れないことに恨めしくもあったが、めったにない訪問で変わりないうつくしさをしているので、恨めしい気持ちも忘れてしまう。また光君があれやこれやと話して聞かせるのも嬉しかった。

 

感想

三の君が花散里。光君が女御に、ほととぎすが昔を懐かしむ橘の香りにさそわれてこの花散里へ来たのですね。と読んだ歌から付けられたと思われる。

ぐぐってみると、まだ花散里の出番は多いようで、今回の花散里のページ数4ページでは語りきれないと言ったところでしょうか。

花散里の最後に、光君と関係を持った人は身分が高く取り柄を持ち、そのせいか光君と深く理解し合い仲違いすることなく過ごしている。とある。

要は育ちが良くて、自尊心も高くその性質で光君と上手くやっている。

と解釈する。源氏物語では、ちょくちょくこの身分の高さを自慢というか誇り高く持っている描写が挙げられる。一般庶民の私からすると、庶民もそんなことないよっと思えるときもあるが、そういう話ではないだろうから割愛。

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