広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

シリーズ1作目『活版印刷三日月堂 星たちの栞』 ほしおさなえ

活版印刷という1文字1文字のハンコを組み合わせて印刷する

日月堂の短編集

 

活版印刷日月堂 星たちの栞 ほしおさなえ

([ほ]4-1)活版印刷三日月堂 (ポプラ文庫)

 

あらすじ

川越運送店で働くハルは母一人子一人で息子を育てた女性

日課にしていたジョギング中、本来は人のいるはずのない店から光がもれているのをみて立ち寄る

そこには、学生の頃からの知り合い弓子がいた

店は印刷所で、聞けば店主の孫である弓子が、ある理由から移り住むことになったという

店の名前は『三日月堂』、ハルは高校卒業祝いに両親から自分の名前入りレターセットを貰い、とても印象に残っていた

ちょうど川越運送店で事務員募集の張り紙をみた弓子から連絡があり、面談後弓子は川越運送店で働くことに

だが、弓子が活版印刷の店の孫と知った、文房具好きの大西が是非見学したいと言い、見に行くことになる

そこから物語は大きく動き出し・・・

 

感想

活版印刷なんて言葉すら知らずにいた

現物も目にしたことがおそらくない

けれども、文面からあふれてくるものを想像するに

きっとデジタルにはない、風合いだとか温かさだとかが出ているのだろう

昨今、昔の技術がなくなっていく一方でこういった技術を受け継ぐ物語があって

ひょっとしたら、これがきっかけで活版印刷に興味が湧いた人もいるだろうし

とても良い物語だと思う

 

今、ちらっとGoogleで画像検索してみたけども

凹んでいるんだね

まぁ ハンコを紙に押し当てているから、当然といったら当然なんだろうけど

やっぱり独特の雰囲気がある

 

あと、気になったのが

本を作った後、増版とかのためにくくって保管してる、と本には書かれていて

そうしたら昔の出版社、どれだけ倉庫が必要だったのか計り知れない

誤字脱字があったら、そこだけ差し替えて

印刷するのにも、一文字一文字活字を拾って・・・

途方もない時間と手間がかかってたんだねぇ

 

肝心の本の感想は

一番好きなのが『八月のコースター』かな

ショップカードに決まった質感とか、実物を見てみたい

初回特典で多少割高でも付けてくれたら買うかも

コースターに俳句をのせる、と言うアイデアも素敵

 

ただの短編で独立しているのではなく

リレーバトンのように、短編同士で人であったり物であったりが繋がっていくのが

とても印象深い

 

次作も来月出版されるようなので、楽しみ

シリーズ化したら更に嬉しいかも 

 

 

2019/5/11追記

シリーズ化して4作品まで発行されました。

4作品目となる記事はこちらからどうぞ

hiroku-asaku.hatenablog.com

 

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