広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

志を持った1人の少女の話(図南の翼 十二国記 6 小野 不由美)

図南の翼 十二国記 6 小野 不由美

図南の翼 (となんのつばさ) 十二国記 6 (新潮文庫)

あらすじ

裕福な商人の家に生まれ育った、12歳の少女珠晶(しゅしょう)が王になるために蓬山へ昇山する話

先王の恭王がたおれて27年、王不在のまま妖魔が蔓延る恭で一人の少女がいた。名を珠晶。裕福な商人の家の娘で庠学に通い一番の成績を収めていた。だが学頭が妖魔に襲われ亡くなったことで庠学もなくなることになる。妖魔が蔓延るのは新しい王がたたないからだったが、有能である商人の父すら蓬山へ昇山することなく諦めて妖魔が襲ってこないように家に鉄格子をはめこんで隠れている実状に腹が立っていた。ある日、珠晶は騎獣の白兎を連れ出し蓬山へと向かったのだった。

道中、騎獣を連れての宿探しに困っているところを利広(りこう)に助けてもらい、旅を続ける。たが、蓬山まであと一歩というところで騎獣を心無い人に盗まれてしまう。一人になってしまった珠晶が宿に泊まろうとしているところへ、騎獣をつれた一人の男が現れる。猟尸師の頑丘(がんきゅう)だ。珠晶は騎獣をつれた頑丘をこれ幸いと雇入れ、蓬山までの道案内をしてくれるように頼んだのだった。

 

感想

珠晶、この歳の子供にしては利口。自分の頭で考えて答えを導き出して、なおかつ自分に自信を持っている。頼もしい限り。それに人に指図するのも慣れていて堂に入っている。ただ、裕福な暮らしに浸っているだけではなく、何故自分がこういう立場に置かれているのかを考えたり、この国の事を考えて何をしなければならないのかを心得ている。まさに王にふさわしいといえる。またそんな王にふさわしいと思えるのが、運だ。困っている時に人に助けてもらったり、作中でもあるが王を交えての蓬山の旅は格段に困難が軽減され、それを人は「鵬翼に乗る」という。そう、蓬山での道中の困難も珠晶が居ることで軽減されていると人が気付くくらいの恵まれっぷりなのだ。だが、恵まれているからといって楽なわけではない、死人や怪我人も出る。珠晶も終盤では一人になったり、頼みの綱の頑丘も怪我をしたりする。それでも、蓬山へと辿り着くことが出来る。

ちょっときになったのが、頑丘が怪我をして妖魔が出てきて襲われるっとなった時に助けてくれた、蓬山の守り主・犬狼真君(けんろうしんくん)の名前が更夜だったこと。慌ててググると当たりだった。あの更夜だった。(東の海神 西の滄海3参照)六太と仲良くなった延の子供、ろくたと名付けた妖魔に守られていたあの更夜。延は500年同じ王で、確か六太と更夜が出会ったのが20年くらい経った頃で、いつの間に天仙になったのだろう。驚きだ。

数々の運と努力と才能で蓬山へ登りつめた珠晶。道中一緒に旅をした利広の正体も後に判明する。なるほどねぇ、どっかの王様かと思ってたけど王の次男坊だったのかぁ。放蕩息子って言ってたけど、奏国も500年の名君か。奏の話もちょっと興味ある。というか12国全部語ってくれてもいいと思うの。範国にも興味ある。あの女装の人。

 

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