広く浅く

広く浅く

本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

食が結ぶ人との交わり(草原のコック・オー・ヴァン 柴田よしき)

草原のコック・オー・ヴァン 高原カフェ日誌Ⅱ 柴田よしき

草原のコック・オー・ヴァン 高原カフェ日誌II

あらすじ

高原カフェ日誌シリーズ第二弾になります(1作目はこちら

 

とある高原でカフェを営む、主人公・奈穂

東京から移り住んではや2年

同じ村で役場に勤める村岡涼介と前作で知り合い今作では

恋人と思われる関係まで発展しています

冬場は観光客が減り、カフェの収入も少なくなるため

ひよこ牧場の工藤南にヒントをもらいながら試行錯誤する日々

そこへ同じ東京から移り住んできた、元ロックバンドのギタリスト大地が現れます

長い間誰も手をつけていなかった、荒れた土地を買い取り

葡萄を植え、ワインを作ると意気込んでテント生活を始めます

 

みな、新しく来た移住者の大地に興味津々で

いろいろと噂話に花が咲き

大地が大麻を栽培しているとの話まで出ます

ワインに対して真面目に取り組んでいる、一方で突然表舞台から姿を消した

原因がわからず、さわぐ周辺

奈穂の店にもその影響が出てしまいますが・・・

 

感想

とまぁ、あらすじを書こうとすると

大地の話がメインになりますが

真のメインは奈穂の、試行錯誤しているメニューやイベントの様子です

そして、食を通じて結ばれる人々との交わりです

牛や豚・鶏を扱っているひよこ牧場の南

農業の嫁・杉田美鈴

カフェにやってくる村の人々

そして個人的に嬉しかった、前作のタイトルにもなった「ベーコンサンドの田中さん」の登場

ワンシーンだけでしたがインパクトのある存在感を残していきました

 

閉鎖的空間になってしまう村の生活

その中で、噂話について、人との関わり方について

主人公・奈穂が大地に語りかける(半ば説教でしたが)シーンが印象的でした

同じ東京から都会から出てきた、大地にならと本音を語る

引きこもりがちになっていた大地に響いた言葉

だからこそ

ラストのシーンが綺麗にまとまったのではないかと思う奈穂の気持ち

 

忘れてならないのが恋人涼介の存在

前作では、前の夫に対して毅然としていたことが印象的だった

今回はアメリカで農業指導研修を行っており、序盤は姿を見せませんが

後半の逢瀬の際も仕事の話をお互いにしていました

ワーカホリックと奈穂も自身で言ってましたが、この二人を見てると

自分が酷く怠け者に思えてきます

そんな二人の関係も発展していき・・・

奈穂の気持ちも理解できます

南に打ち明けた思い

そこで逃げずに前へ進んだ奈穂の決心

 

読了感が爽やかに草原を感じさせます

 

注目記事