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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

日々を楽しく生きる(麦本三歩の好きなもの 住野 よる)

麦本三歩の好きなもの 住野 よる

麦本三歩の好きなもの

麦本三歩という大学図書館に勤めている女性の日常を綴った短編集

 

「麦本三歩は〇〇が好き」というタイトルで全12編ある

 

彼女がどういった人物かは文中でもある通り、「ぼうっとしている、食べすぎ、おっちょこちょい、間抜け」だ。

ぼうっとしていて、おっちょこちょいなあまり、仕事で”怖い先輩”にしょっちゅう怒られている。

そして食べすぎに関しては、美味しそうに何でも食べる。また食べるシーンの描写も上手い。というか長い。

「麦本三歩は今日が好き」でチーズ蒸しパンを食べる描写があるのだが、実に1ページを費やしている。食べ物の描写としては長いような。でも美味しそうな描写なのだ。それは私がチーズ蒸しパンが好きだからだろうか・・・・

間抜けに関しては、「麦本三歩はピンポイントが好き」での行動に現れている。図書館の書庫で停電になり、真っ暗な中、書庫からの脱出を試みる三歩。何故か椅子を使って書架づたいに入り口まで行こうとする。だが、残念ながら失敗して、先輩に助けられる。なんともいいがたい。

 

===

そんな三歩が毎日を楽しく生きることに関しては見習いたいところもあった。それは一日の始まりに、今日これから起こりうることで楽しみなことや物を想像するということ。そんなことに思いを巡らせて一日を始めれば、きっと楽しいだろうな。

 

三歩の言動が独特だった。ちょっと読みづらいとも。でもそんなことを含めての三歩だった

 

「無意味な日々も意味ある瞬間もどっちも大切で・・・」 p10

 一見、何の価値もないようなことも、価値のあるなしで区切るものじゃなくて、全部が大事。というようなことを三歩は言いたいんだと思う。だから日々を好きで埋める三歩の考えは素敵だし、見習いたい。

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