広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

底抜けに明るい母と娘の人情噺(漁港の肉子ちゃん 西 加奈子)

漁港の肉子ちゃん 西 加奈子

漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫)

太ってて不細工で明るい肉子ちゃんと娘・キクりんの人情物語

 

男に騙されてばかりなのに、ちっとも恨んだり妬んだりということがなくて相手を信じ切っている肉子ちゃん

本名・菊子だけど、その容姿からみんなに肉子ちゃんと呼ばれている

男に騙されてるのに、男を探しに行った漁港の町に住み着いてしまい

焼肉屋の店員として働くことになった肉子ちゃん

 

そんな肉子ちゃんには小学5年生になる娘・キクりんがいる

キクりんは本名・喜久子

なんと母親と同じ名前、字が違うだけ

だけどキクりんは色白で目がパッチリして可愛いと言われる

それに本好き「女生徒」「こころ「かもめのジョナサン」なんかを嗜む
そして、冷静

 

焼肉屋のサッサン、妻を亡くして一人焼肉屋をたたもうとしていたところ、肉子ちゃんが現れ「肉の神様が現れた」と思ったサスケさん御年70歳

ペットショップを経営している金子さん。買いに来た客にこれでもかと、犬猫を買うことがいかに大変かグロい表現を用いることでなかばトラウマを植え付ける。でも動物たちに対する愛情は人一倍

キクりんの友達、マリアちゃん。大きな家に住んでてお金持ち。マリアと言う名前も、海外の人に覚えてもらうためにつけた

なにやら気になる同級生二宮、ちょいちょい登場するが・・・

 


 

底抜けに明るいっていいなぁ

肉子ちゃん、その明るさがキクりんを救ってるというか、ええ子に育ってると言うか

そんなえぇ子に育ってるからラスト感動の展開になったんだと思う

ちょっとうるうるしてしまった

 

以下ネタバレ

 

キクりん肉子ちゃんの本当の娘じゃなかったんだね

どうも、肉子ちゃんが妊娠したとか言う話が出てこんかったからおかしいなぁと思ってたけれど

肉子ちゃんの友達の子供やってんね

それをキクりんはわずか4歳の時に悟ったって、どんだけ~

キクりん賢すぎやろ

 

それで焼肉屋やからお腹こわしたら店の信用に関わるから用心してなって言われたこと気にして

盲腸やったのにずっと我慢して

サッサンの言葉にうるうるしたわ

迷惑かけてなんぼ、それが生きてること。 大事やわそれ

10やそこらの子が気つかって、生きるなんて、健気やけど息苦しい

大好きな肉子ちゃんに気使って

肉子ちゃんも、本当の母親の元へ行きたかったら行ってもいいなんて本音じゃないこと言える

最後はふたりとも号泣して抱き合って

 

最初の肉子ちゃんの男遍歴からこんな展開が待ってるとは思わなかった
肉子ちゃんだって若い頃だったら痩せて可愛かったかもしれないという願いがあったから

まさか本当の親子じゃなかったってオチ

そして、キクりんの妄想は、頭の中だけで起こってたことじゃなくて実際に口に出してたって

二宮と同類というかなんというか

えぇ話・・・・やったんかな・・・

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