イレーナの帰還 マリア・V スナイダー
とうとうシリーズ完結するらしいので再読
本作はシリーズ2作目
イレーナがイクシアを離れて故郷シティアへ向かうところで終わりました
イクシアへ戻ればただちに死刑が執行される事になっているイレーナ
14年ぶりに故郷シティア・ザルタナ族の住まいへと戻ってきたイレーナは
そこで諸手を挙げて歓迎されることはなかった
長年故郷を離れて敵国のイクシアで育ったイレーナに、スパイだと思われていたのだった
おまけに肉親の兄にまで疑われる始末
兄は悪事や不吉な未来が見える能力を持っていたし、妹ならそれとわかるとみんなに言いふらしていた
唯一喜んだのはイレーナの両親、特に母親のパールだった
温かくイレーナをもてなし、そのままザルタナの家で暮らすことを望んだ両親だったが
魔術に関してまだ素人なイレーナを訓練するべくアイリスは城壁へイレーナを連れて行くことを決めた
城壁へ向かう最中、何者かに襲われるイレーナと兄・リーフ
だが、それはリーフの策略だった!!
囚われたイレーナは、国王だというカーヒルに第一魔術師範が待つ魔術師養成所へ連れて行かれる
第一魔術師範ローズに心を読まれたイレーナは、密偵でないことを証明されたのだった
そうして、アイリスによる魔術の特訓が始まった
と前半部分までのあらすじでした
イレーナが見つかるその日までイレーナを捜索してたくせにその片鱗を見せること無く辛く当たるリーフ
どういう心境なのか
でもその心境も後半で語られます
イレーナはイクシアのある人物によって誘拐されるのですが、その瞬間をリーフは目撃していて助けようと思えば助けられたかもしれなかったのです
でも本当に助けていたらリーフは死んでいたことをアイリスが教えてくれます
なにせ幼かったリーフ、怖かったのもあるでしょうが、助けなかったのにも訳があります
それは妬み。妹が自分より両親に愛されていると思い、嫉妬しあえて助けなかったことを気にやんでいたのでした
そういった感情は理解できます、もうむしろ兄弟姉妹なら誰でも通る道なんじゃないかと思います
両親の愛情を一手にあびたくて仕方ない子供時代、自分以外の愛される存在は邪魔と言ったらいい過ぎですがそれくらいの熱量を持ってしまうものです。致し方ない。
でもそれも成長と共に薄れていって大人になる。
終盤そのことをイレーナに知られて、ちょっとは和解したかなぁと思える二人。たった二人の兄弟だから仲良くなって欲しい
キキもいい味だしてるなぁ
サンシード族に飼われてたキキ。目が青くて、カーヒルは縁起が悪いって言ってた
けれど、私は青くてキレイだと思う。
それにキキのネーミングセンスがいい
イレーナはラベンダーレディ、カーヒルはペパーミントマン
リーフはサッドマン
極めつけに、ヴァレクはゴースト。神出鬼没なところが言い得て妙
次は、ヴァレク
毎度毎度、絶妙なタイミングで現れて嵐のように愛情を与えて去っていく
名残惜しいです。もっとイレーナとヴァレクの絡みが見たい。
でもイクシアの防衛長官で最高司令官の右腕だし、敵国の人間だし、でそうやすやすとは会えない
だから、イレーナがピンチの時にさっそうと現れて救ってくれるヴァレクはヒーローそのものです
魔術に対して徹底的に受け付けない体質なのに、イレーナの魔術を使った呼びかけに応答出来るって
なんだか運命かんじちゃうって、思わず乙女になってしまいそうです
一巻のラストで必ず一緒になるって約束が、いつ果たされるのかを気長に待ちながら
最終巻まで楽しみにしてます