広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

人を信じるとは、疑うとは(月の影 影の海(上)十二国記1 小野不由美)

月の影 影の海(上)十二国記1 小野不由美

月の影  影の海 (上) 十二国記 1 (新潮文庫)

あらすじ

のちの慶国王となる陽子の物語

上巻は陽子の日本での高校生活を綴る

地毛で赤い髪の毛を持つ陽子は、母親からも切るか染めるかしたほうがいいと進められる

学校で目立ち、いらぬ勘ぐりをされるからだ

実際先生からも本当に地毛なのか、夜遊びをしているのではないかと疑われる
が、陽子は大人しく勉強をする生徒で出来も良かった

父親の教育方針で、頭は賢くなくていい、大人しいくらいが丁度いいと本来ならもっと上の学校を受験できたのに堅実な女子校を受けさせられた。親に逆らうほど受けたい高校が無くはなかったが、結局はいいなりになっていた

学校でも、流されるまま優等生っぷりを求められるまま応じ

クラスでいじめられていた生徒に対しても、嫌とは言えず結局はその他大勢と同じような態度を取らざるを得なかった

そんな陽子のもとへ、一人の男性が現れた。探していたと危険がせまってると男は言い、逃げようとした時学校の窓ガラスが割れる

男が突然膝をつき訳の分からぬ意味のとれぬことを言い、許すと言いなさいと言われる。男の気迫に許すと答えた陽子。

逃げるために屋上へと連れてこられた時、この世のものと思えない巨鳥が現れる。突然な出来事に説明もないまま、男はケイキと名乗り陽子をどこかへ連れて行くという。未だ敵と呼ばれる怪物が襲ってくるなか、ケイキは陽子に一振りの剣をさずける。剣の使い方など知らないと言い張る陽子に、ケイキはジョウユウという男を陽子にまとわせる。得体の知れないジョウユウに取り憑かれて恐怖に怯える陽子

追手が迫っているといい、ケイキは無理やり陽子を獣に乗せてどこかへ向かう。向かっている最中に、また敵が現れ陽子はケイキと離れ離れに一人になってしまう

たどり着いた先で待っていたものは耳慣れない単語と、見たことがない人々だった

 

感想

女子高生の陽子は、どっちつかずで流されるまま反抗もせず大人しい女の子という印象

ちょっとイライラする

そんな陽子の前に、探してたという男が現れ、敵に襲われ知らぬ土地に辿り着く

唯一助かるなぁというのが言葉だ

日本でない限り日本語は通用しないし、異世界でも言葉が分からないと死活問題だ

陽子はなぜか日本語を話しているつもりなのに、たどり着いた先の巧国(こうこく)では特に話すことに対して不自由しない。これは陽子がとある存在だから言葉に不自由しないのだが、読み書きはその効力を発揮しない。

陽子のように日本からやってくる海客はまれに存在すると言われるが、こと功国ではいい海客なら問題ないが、悪い海客なら罰として処刑されたりすると聞かされる。悪い海客というのは、その人物が来たことで妖魔が現れたりなんらかの凶事が起きたりすることを言う。陽子をつけ狙う妖魔が居ることで、悪い海客だと暗に言われる。逃げなければ殺される、そう思ったが逃げ場はなかった。だが、また妖魔に襲われた陽子は逃げるチャンスを得る。ジョウユウがいるため、剣の扱いに問題はなかった。そうして逃げ延びるが、夜になると妖魔が襲ってくる。おまけに、青猿という亡霊のような猿が自身の不安や人に対する不信感を煽ってくる。また、日本での映像が時折剣から流れるようになる。そこには、心配する母親、家出したんだろうという父親。はたまた学校の生徒が映ることもあり、友だちと思ってた人物があまり好きでなかったと言っていたりする。

散々な目に合いながら逃げる陽子

これだけではないが、精神的にも肉体的にもズタボロになりながらそれでも必死に、唯一の手がかりであるケイキを探そうとする。家に帰るために。

なんだろう、陽子が一皮むけるための試練なのだろうか

過酷な状況が続く上巻

人を信じるとは、疑うとは。

 

下巻はこちら

hiroku-asaku.hatenablog.com

 

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