月の影 影の海(下)十二国記1 小野不由美
あらすじ
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行き倒れそうになった時、一匹のネズミに助けられる
そのネズミは言葉を話し、人間の背丈ほどあった
ネズミは楽俊(らくしゅん)と名乗り、陽子を手厚く介抱してくれた
まだ人を信じることが出来ない陽子は剣を肌身離さず携えていた
そんな陽子に動じない楽俊は、陽子を海客の保護に手厚い雁国(えんこく)まで連れて行ってくれるという
親切すぎる好意に戸惑う陽子に楽俊は、ここ巧国の王が半獣も海客も嫌いなことを告げる
雁国ではその逆だということも
自分のためだけに雁国に行くわけではないことを知った陽子
そうして楽俊と陽子の旅が始まった
道中この世界のことを教えてくれる楽俊。本人が言う通り博識な知識を披露してくれた。
そんなある日また、人通りの多いところで妖魔が陽子を狙って来た
敵に出会うことに血の気が上がり喜びを感じる陽子
戦い抜いた末に待っていたのは、楽俊が血にまみれて倒れる姿だった
助けようとも考えたが、間近に衛士が迫っていた
捕まえられたら、万事休す。助けていたら捕まってしまう
助けずとも、行き先を知っている楽俊を生かせば、この先の道のりで捕まる
陽子が選んだ選択は・・・
感想
敵に出会って、喜びすら感じてしまうようになった陽子
喜びというより、強い敵に出会った剣士のようなものだと思っている
それに、楽俊と出会って介抱されても警戒を怠らない姿勢
上巻の大人しい、流されるままの陽子ではなかった
人を信じられず、こっちの世界に来てから裏切られたことが多い陽子
嫌でもそういう警戒心を崩さない態度になってしまうのだろう
それが雁国にたどり着いた時、待っていた楽俊と会話してわだかまりも溶けて、本当の友人となるシーン
なんだか楽俊の人としての優秀さがわかるシーンでもあり、私は好きです
それと有名なのが、陽子が慶国王だと分かった時の楽俊との会話
王だと知って、途端に距離を置く楽俊に友達と思っていたのに豹変するなんて、差別だ。楽俊の気持ちが遠ざかったんだ。私と楽俊の間にはたかだが二歩の距離じゃないか。という陽子に対する楽俊のセリフ「おいらには三歩だ」
王と楽俊ではなく、陽子と楽俊。という位置づけに戻ったシーンです
楽俊と陽子のシーンは印象的に残る会話が多く、陽子が王になることをためらっている時にかける人形の楽俊のセリフも良いです
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