アカガミ 窪美澄
読み終わった時ゾクってした
あらすじ
生きる目的も見つからないまま日々を送っていたミツキ
死のうと思ってバーで薬を飲んだが、一人の女性に助けられる
生きてる意味がないと言うミツキに、なんでもして時間を稼いだらいい、若くてきれいなのに恋愛もセックスも知らずに死ぬなんて馬鹿らしいという女性
それは生きていたいと、生き続けたいと思うほど素晴らしいものなのか問うミツキ
でも明日またここに来て欲しいと言われたとき、なぜかもう少し話してみたい気がしたミツキは再び女性に会うことになる
そうしてその女性・ログとミツキは度々会う仲になる
父のこと母のこと、若い女と出ていった父。それからうつになって寝込んだままの母。
セックスに関すること、恋愛に関すること
そういうことを話している二人
あるとき、ミツキはバーの店員からデートに誘われるが興味のないミツキは断る
その店員が40代とミツキとは年の離れた存在だったため、ログはミツキにアカガミという制度の話をする
アカガミの参加者は国に推薦された人か、ログのように国家公務員みたいな人に限られてくる
が、ミツキはログの薦めのまま、また恋が出来るかもしれないと期待をもってサイトに登録した
一ヶ月後受領書とかかれたハガキが来て、アカガミに参加するかどうか再度問われて、参加するに丸をつけて返事をした
さらに一ヶ月後、教習所と呼ばれる場所に行くよう案内が来て
そこでひとりの男性サツキと二人で暮らし始めるのだった
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感想
アカガミ、という題名からして戦時中の兵士を確保するための用紙・赤紙を連想させたが
ミツキがサツキと出会って恋をし始めて、まぐわいというなのセックスをするまでが
とてもゆったりと緩やかに二人の関係が紡がれていって、これだけ読んだら、恋をしたことがない二人が恋を自覚してまぐわうまでの心理描写が丁寧に描かれている恋愛小説
といっても過言ではなかった
舞台は少し先の未来で、主人公・ミツキが生まれたのが2005年、現在ミツキは25歳
つまり2030年の物語
その当時、若者たちは次々に自殺し始め増加の暇がない
性に関して研究をしているログ、自身も性を抜く仕事をしている国家公務員である
その研究対象としてミツキを見ていた
また2020年に発表された論文で、2000年以降に生まれた若者の寿命が40歳までもたないかもしれない
というものがあり、これが若者たちに影響をもたらした
ログのサンプルのなかにはこの論文を信じて自殺した人も一定数いるとあった
こんな世界でのアカガミ制度
一定の年齢層で、参加資格のある男女が一緒に住まわされる(性格や生活習慣などを考慮し、最適の相手を選ぶ)
ただし、嫌だと思えば相手を変えられる制度もある
そうして、家具・家電・食料に至るまで支給されて暮らす
また、妊娠すればあらたに妊婦に最適な食料と、場所が新たに提供されるという
ここからネタバレ
アカガミという名前は伊達ではなかった
どうやらアカガミで生まれた子供が国のものになって国のためにつかわれる
とアカガミ反対派からリークがあった
兵士を連想させますね
それでミツキとサツキの子供は指が6本あったから、不適合者とされ施設を追い出されて
今後二人が幸せに暮らしてくれるよう祈るのみです
人によっては、アカガミの制度って結局なんだったの??とか
二人の今後は??とか
疑問が残る作品だったようですが
アカガミという題名がすべてを物語っているのではないかな、と私は思います