広く浅く

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本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

あなたの人生、片づけます 垣谷美雨

あなたの人生、片づけます (双葉文庫)

あなたの人生、片づけます 垣谷 美雨

片づけ屋・大庭十萬里による、当事者の問題や悩みを片づけによって解決してしまう短編集。

 

依頼者である当事者の親族は問題だと思っているのに、当の当事者は何の問題もないと問題視していないのが問題だ。

 

十萬里いわく、「部屋を片づけられない人間は、心に問題がある」

 

ケース1精算では、1LDK40平米あるマンションに住む30代OL春花。彼女の部屋には足の踏み場もないほど物があふれかえっている。いわば汚部屋。誰も部屋に呼べない状況だが、心配した両親によって目撃され十萬里に片づけの依頼をする。会社の同僚にホームパーティーに呼ばれるが実際は子守を押し付けられたり、既婚の上司と不倫したりしていた。そんな彼女が片づけをきっかけに変わってゆく。

 


この後ケース4まであるが、どれも片づけることと、十萬里が介入することで事態が解決していく。

それも無理矢理こうすればいい、というやり方ではなく、少しずつ自分の抱えている問題に気づかせて片づけていく。凄い。

 

片づけの上手な人って問題解決能力も高いんじゃないだろうか。十萬里さんの接し方ってはっきりしてて媚びないで、でも丁寧。その態度に当事者たちも変わってゆく。十萬里さんには単に片づけるだけでなく、人をいい方向に変える力があった。

 

うちにも十萬里さん来て欲しい。別に散らかってるわけじゃないし、物があふれかえっているわけでもないけれど、その問題解決能力をおかりしたい。後は、処分するかためらってた物があってでも十萬里さんは

「最もまずいのは見るたびに『ああ、無駄遣いしてしまった』と後悔して落ち込むことです。見るとつらくなるものは、処分したほうが精神的にもいいんです」(p66)

と言っている。だから思い切って処分しよう。ワクワクしたり楽しい気分になれる物をそばに置こうと少し思った。

本の裏表紙に「この本を読んだら、きっとあなたも断捨離したくなる!」に間違いはなかった

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