広く浅く

広く浅く

本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

紫の上の最期(御法 源氏物語 中 角田光代訳)

あらすじ

紫の上は昔患った大病の後、これといった原因もないけれどひどく弱ってしまう
回復の見込みもなく、ますます衰弱していってしまう
光君も限りなく心を痛めている
紫の上は出家したいとかねてから考えて光君にも言っているが頑として許そうとしない
自身も出家したいと考えているので一緒に出家しようとも考える
しかし出家したなら離れ離れでお勤めしなければならないと光君は思っているので
ただでさえ弱っている紫の上を見捨てるようなことも出来ないし、そんな状況で出家しても
集中してお勤めできないと考えている

紫の上はこれまで自身のために書かせていた法華経を急いで供養しようとする
その法要は二条邸で営むこととなった
花散里や明石の女御も法要に訪れた
法会が終わり帰る花散里に、もうすぐこの世を去る私が営む最後の御法になるでしょうけど、頼もしいことに、あなたと結んだご縁は、ずっと先まで続くでしょうと詠んだ

 

感想

ついに…紫の上が亡くなった。
幾つだっけ?
うーん、40そこそこ?
物の怪が憑いて復活したけど、長生き出来なかったね
いやでも昔の人だからこれくらいで普通なのかな

残された光君は一体どうするのか

 

というか御息所の怨念は一体いつまで生き続けるのか

夕顔のみならず紫の上まで呪ってしまうとは、恐ろしい…

娘の秋好中宮が心配するのもしかたないね

一条宮への恋(夕霧 源氏物語 中 角田光代訳)

あらすじ

一条宮(落葉の宮・女二の宮)のことを諦めきれない夕霧
一条御息所の具合が芳しくないので、比叡山麓近くの小野というあたりの別荘に移ることになった
一条宮も一緒に移り住んでいる
頻繁に御息所と手紙のやり取りをしているため、北の方(雲居雁)も感づいている
8月半ばの頃、御息所の具合も気になるし、野辺の景色もうつくしい時期なのでお見舞いに行くことにする
何年にもわたり幾度と訪問しているのにつれない態度の宮
女慣れしてなくてあなたに笑われていないかと思うといたたまれない
こんなに生真面目に生きてきた男はいませんよと夕霧
母の介抱で、自身もひどく気落ちしていると宮
宮が明るくあることで御息所の気持ちも心強くなりますよ。私がこうして来るのも母のためだけではなく
宮への長年の気持ちの積り重なりを気づいてくれないのは、不本意に思いますと夕霧
霧が辺りに立ち込めて帰ることも出来ずに居て
ついに気持ちを打ち明ける
薄々気づいてはいたけれど、面倒なことになったと返事をせずにいる
夕霧は二度とこういった機会もないだろうと、泊まることにした
そうして機会を伺って、女房が御簾に入る時を見計らって一緒に入り込んでしまう


感想

なんだろう、源氏物語で相手方が好きですんなり夫婦になったエピソード少なくない?
いつも女側が嫌がってる気がする。
時代ゆえ?身分ゆえ?
にしても夕霧子沢山だね。大所帯だわ

 

ゴーイングマイウェイがこの時代の主流だったのかしら
だとしたら光君の相手の気持ちに寄り添って近づくやり方は珍しかったのかな?

 

やっぱ、浮気になるのかな
この時代も
雲居雁嫉妬してるし、怒って実家帰っちゃうし
紫の上も女三の宮が嫁いできたとき、自分の行く末心配してたし
一夫多妻制だけど、それで夫が妻何人もいてもへっちゃらよ、常識よ
とはならなかったんだね

 

雲居雁が方違と称して実家帰る

方違とは

陰陽道 (おんようどう) で、外出するときに天一神 (なかがみ) ・金神 (こんじん) などのいる方角を凶として避け、前夜、他の方角で一泊してから目的地に行くこと。平安時代に盛んに行われた。たがえ。かたたがい。 デジタル大辞林より

 

ふむふむ
方角が悪いから、いい方角でリセットするのね
へぇー

鳴き声に例えた想い(鈴虫 源氏物語 中 角田光代訳)

あらすじ

尼君(女三の宮)が持仏を作り、その開眼供養をすることになった
光君や紫の上の力を借りて準備し万事滞りなく行われた
尼宮は相続した三条の宮邸に住むことになる
光君は宮邸を出家の日々にふさわしく整えた
お世話をする女房たちも我も我もと続いて出家しようとしたが
光君が諌めて、10数人ほどになった
庭先に秋の虫を放たせている
8月十五夜の夕暮れ、光君が訪れる
鈴虫が鳴いているのを聞いて、秋好中宮が松虫が鳴き声にすぐれているからと連れてきたことがあったが
寿命が短いはかない虫だと言う話をすると
尼君は、あなたさまが私に飽きたことはわかっているのに、鈴虫の声はなかなか振り捨てることが出来ません
と歌を詠んだ


感想

秋好中宮、母の噂に心痛めて気の毒。
秋好中宮は桐壷院の弟が父なのね。ふむふむそうだった。
冷泉院は父が光君って知ってるからか、もうちょっと会いたいって思うのなんか可愛いなw

柏木が残したもの(横笛 源氏物語 中 角田光代訳)

あらすじ

柏木があっけなく亡くなってはや1年が過ぎた
一周忌に光君は黄金百両を柏木の父に進呈した
夕霧も多くの供養をし、自身でも心をこめて法要を取り仕切っている

朱雀院が寺のそばの林で取れた筍や山の芋を尼宮(女三の宮)に送った
それを若君が齧っては放ろうとしているので
光君は「食い意地がはっていると、口さがない女房が言い触らすといけない」と言って笑う
しかしこの若君は誰に似たのか美男子で女宮(明石の女御の姫君)と困ったことになりはしないだろうかと心配する
若君が生まれた経緯を忘れることは出来ないが、かわいくて捨てることも出来ない
と歌を詠んだ

夕霧は亡くなる直前に言い残した柏木の言葉が気になっている
いったいなにがあったのか光君に聞いてみたいし、その時の反応も知りたく思っている
うすうす事情を察して思い当たることもあるので、かえって口にしてはっきり問うのもどうかと思っている

秋の夕べ、一条宮(女二の宮)はどうしているか気になって訪れる
いつものように母の御息所が応対している
宮は琴を弾いている最中だったようでそのまま夕霧を招き入れる
その琴は亡き柏木がいつも弾いていたものだった
そのため夕霧は宮に弾いてもらいたかったが
御息所は夕霧に弾いてもらいたい様子
あまり無理強い出来ないと、琴をかき鳴らすともっと弾いてみたくなり琵琶で「想夫恋」を弾く
何も言わない宮に対して、言葉にするより深い思いを抱いているのでは?と歌を詠んだ
そうすると宮は「想夫恋」の終わりを少しばかり弾いて、琴で奏でる他に言葉を持たないと返歌した
帰り際御息所から、柏木が大事にしていた笛を渡される


感想

やはり夕霧は若君が誰の息子かうすうす感づいていそう
それを光君に聞くけどさらっとかわされて
ちょっといい感じになった柏木の奥さんとのこと自分の奥さんにも皮肉言われるし、光君にも説教されるし。
まぁ仕方ないよな

塗り絵を解体して壁に飾る

 この記事からはや5年!?

hiroku-asaku.hatenablog.com

 

塗り絵をばらしました

で、壁に飾ろうかと

 

調べてみるとアイロンで本の糊を溶かして剥がすそうです

あまり高温だとこげるとか燃えるとか

恐ろしいことが書いてあったので

あて布をして中温で温めました

 

専門的用語で言うと見返しの糊は温めても溶けず

力技でビリビリと引っ剥がしました(笑)

 

背表紙の糊は温めたらぺらーっと取れ

一枚一枚剥がすには糊の部分をあて布をして温めたら

剥がれました

 

後は、見開きの糊でくっついていた部分(5mmくらい)をカッターで切り落とし

分解完了

壁に飾るのに丁度いいサイズのコルクボードがキャンドゥで手に入ったので

ホッチキスで止めて飾りました

 

塗り絵のサイズが24×24なので額縁がなかったので

ラッキーでした

 

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身分違いの恋の行方(柏木 源氏物語 中 角田光代訳)

あらすじ

柏木はずっと病に臥せって、快方に向かう様子もなく新しい年となる
父がすぐれた修験者を呼び寄せて加持祈祷を行っている
陰陽師たちは女の霊のしわざだという
それを聞いた柏木は女の霊が女三の宮だったら自分の身がたいせつに思えるのに
光君はもうどんな顔をして会えばいいのかわからない
光君と目を合わせたときからおかしくなって、さまよいでたたましいがこの体に戻ってこないのだ
と言っている
女三の宮に手紙を送ったが、姫は返事を書く気にもならない
後ろめたく合わせる顔がないという様子
それでも小侍従がこれが最後かもしれないと言って書かせた返事には
私もいっしょになって消えてしまいたい。情けない身を嘆く思い。
と綴られていた
その後、姫は一晩中くるしんで男の子を生んだ
出産で弱った姫君は出家したいと光君に訴える
その様子を聞いた父の朱雀院が会いに来て
噂では姫君への愛情はそれほど深くなく、院が期待していた通りにはならなかったと心を痛めていた
そしてこの機会に出家したとしても、姫君が悪く言われるようなことにはならないだろうと
姫君を出家させることにした

だが、夜明けに行われた後夜の加持祈祷に物の怪が現れ
姫君にも物の怪が憑いていたことがわかるのだった

柏木は姫君の様子を聞いて、ますます消え入るように、まったく回復の見込みも望めなくなっていった弟の右大弁の君にひととおりのこまごまとしたことを頼む
妻の女二の宮のことを見舞いに来た夕霧に頼む
最後に女二の宮に会いたいと思っていたがそれも叶わず、亡くなる

 

感想

柏木亡くなっちゃいましたね
恋してはいけない身分でしかも光君の奥さんで
そんなひとを好きなってあまつさえ妊娠させたんだから
確かに光君にちらっと皮肉みたいなの言われたけど
まぁそれだけしてはいけないこととわかっていた
罪の意識があったと
それで病になって死んでしまうとは
恋の病恐るべし

恐るべしといえば
六条御息所、女三の宮まで呪い殺そうとしてたのね
怖や怖や
誰か霊験あらたかな修行僧に供養してもらわないと
今後も犠牲者増えそうだよ

女三の宮に恋する者(若菜下 源氏物語 中 角田光代訳)

あらすじ

女三の宮に恋する柏木はその想いを綴った手紙を送っていたが
小侍従から無駄なことだと返事が返ってきて、もっともだと思っていたが
これからどうやって過ごしていこうと思い
また一言でもいいから直接言葉をかけてもらえないかと諦めきれてない

3月の終わりの日に殿上人たちの弓の競射が六条院で行われた
賞品もあったが、上手い人だけを集めて競わせても面白くないと光君が言うので
素人の射手も参加させた
柏木が物思いに沈んでいるのを見た夕霧はいとこ同士とはいえ心も通う親友同士なので
自分のことのように心配していた
柏木は女三の宮の夫である光君の姿を見るとそらおそろしくなり正視できない
女三の宮の所にいた唐猫だけでも手に入らないものか
手に入ったらひとり寝のさみしさをなぐさめてもらいたいと考えていた

柏木は東宮に参上していた
東宮は猫好きだったので、柏木は女三の宮のところで見た珍しい唐猫で可愛らしかったと
興味を持つように言った
柏木の思惑通り東宮は唐猫を女三の宮から献上されていた
あまりなついていませんね、一旦預かりましょうと、唐猫を手に入れた柏木
夜もそばに寝かせて可愛がっている

髭黒大将は前妻との縁をすっかり切ってしまい、玉鬘を大切にしている
玉鬘が生んだ子は男の子ばかりだったので、真木柱を引き取って育てたいと考えているが
祖父がそれを許さない
蛍宮が今も独身で、真木柱に気のある素振りをしたら祖父が許可を出して
真木柱は蛍宮に嫁いだ
が、蛍宮は亡くなった前妻を恋しく思っており、面影の残った人がいいと思っていたが
真木柱は雰囲気の違う女性だったので、あまり通わない

冷泉帝が即位してから18年経った
急に退位することになり、東宮も成人していたので位を引き継いだ
髭黒大将は右大臣に
夕霧は大納言に昇進した

光君は退位した冷泉院の跡継ぎがいないことを内心では不満に思っている
出生の罪は隠しおおせたが、そのかわり後の世まで血筋を伝えることができなかった宿縁を
もの足りなく思っている

 

感想

東宮猫好きか
犬ではなく猫が飼われてたんだね
唐猫ということは中国の猫か
かわいいんだろうな
ねうねう、って聞こえるのね鳴き声

冷泉帝は藤壺の宮との間にできた光君の子供だったな
跡継ぎ生まれなかったのが良かったのか悪かったのか

「明石の尼君」といえば幸運な人って意味になった
ってとこで、近江の君が出てきてなんか相変わらず元気そうで笑った

紫の上を安心させようと他の関係あった女の人を悪く言ってしまった因果かね
六条御息所がまた、呪って出てきてしまった
紫の上は一旦亡くなったけど、息を吹き返して(!!?)
御息所亡くなって随分経つのに、まだ成仏してなかったなんて
怨念恐るまじ

柏木の想いの強さ、強行突破には驚かされる
そりゃ怖いよね女三の宮
いきなり訪ねてきて、しかも寝てたのに
想いを打ち明けられても困る
それだけで終わらず、その後も会いに来て
挙句の果てには懐妊ってまー
髭黒大将のときもそうだけど、内部の協力者の力かりて
既成事実作って結婚ってやり方、割とあったのか?
光君は、自分と藤壺の宮のとのことを思い出してるし
でも柏木の身分で自分と張り合おうなんてとか言ってるし
柏木は自分のしたことの大きさで体調悪くなって臥せってしまうし
大丈夫かな

てか紫の上の時もそうだけど
病にかかったらまず加持祈祷とか
医者という概念というか存在はいつ頃から生まれたんだろう

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