広く浅く

広く浅く

本の感想。ジャンルは文芸・ファンタジー・SF・ミステリ。ほのぼの系が好き

明石の姫君との出会い(源氏物語 明石 13 角田光代訳)

源氏物語 明石 13 角田光代

源氏物語 上 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集04)

あらすじ

須磨に居る光君の所で嵐が吹き荒れていた。二条院から使者が来て、紫の君から手紙を持ってきた。どうやら京でも嵐のようだ。

光君は住吉大社に嵐をおさめてくれるよう祈った。

だが、雷が光君のいる寝殿に続く廊に落ちた。

その晩、うとうととしている光君の夢に亡くなった桐壺帝が現れる。桐壺帝はどうしてこんなむさ苦しいところにいるのかと問う。光君は色々あっていっそ渚に身を捨ててしまいたいことを言う。桐壺帝は知らず知らずのうちに犯した罪もあったが、暇がなくてこの世を顧みることもできなかった。だが光君が大変なことになっているのをみて、やってきた。朱雀帝に一言いわなければならないから、急ぎ京へ行く。と言い残し立ち去る。

光君は自分がこんなつらいめにあった時に来てくれたと嬉しく思い、天変地異もつらさもなごんだ。

そうしてあくる朝、波打ち際に播磨守の入道の使いがやってくる。なんでも夢でお告げを得たため船を出したのだという。お告げの通り嵐は止み、ここまでこれたのだと。心当たりはあるかと問われ、あった光君は入道に手紙を書いた。

入道も同じ立場で明石に居るという。入道は光君をよろこんで明石に迎え入れることとなった。光君は親しく仕えている4.5人だけを連れ明石に赴いた。

 

感想

はい、前回須磨で登場した明石の入道が出てきました。出方もその時代特有だと思います。お告げとか夢とか。でも夢でも光君が大変な時に夢に現れた父・桐壺帝。

どれだけありがたかったでしょう。寝ている近くの廊下に雷が落ちるなんて、ただ事ではありませんからね。朱雀帝にも一言物申してくれるそうで、この謹慎も解けそうです。その後、朱雀帝の夢に桐壺帝が現れにらまれた影響でなのか眼病を患う、続いて弘徽殿大后まで体調が悪くなり、これはひょっとして光君を須磨に追いやったからだと思い、弘徽殿大后に反対されながらも光君の謹慎を解いたのだった。

 

そして今回登場する女の人は、明石の君。身分違いで会うなんてとんでもないと最初はまったく釣れない態度を光君に取りますが(1年も)、はれて夫婦になります。おまけに妊娠も発覚し、光君は明石の君にかかりっきりです。

 

明石の君が釣れなくしていたころ、紫の君には浮気などしないと言い残し須磨へやって来たのに、と悶々としていました。実際紫の君へも包み隠さず、明石の君に恋をしたと手紙にも書いています。そして変わらぬ愛を紫の君へと告げる。

後ろ髪を引かれるようにして京へと戻った光君、官職も元の階級から昇進し権大納言になった。お付きのもの達もみな、元の官位を賜った。

 

一件落着かな

 

紫の君へ包み隠さず話すという、風通しのよさ。あなたへの変わらぬ愛を誓ったその気持には背いてません。なんて言われた方は信じるしかないけれども・・・

注目記事