風神の手 道尾秀介
あらすじ
一つの事件が発端となった、ひとつひとつが繋がっている物語
ひとつの会社が起こした事件。それは工場で使う消石灰が川に流れ出し、隠蔽しようとした会社が週刊誌によって暴かれその会社・中江間建設は潰れた。
その会社社長の娘・奈津美がついた嘘。淡い恋(心中花)
デッカチとマメというあだ名を持つ少年たち、が救った人物(口笛鳥)
事件の鍵を握る人物が癌に。事件関係者の看護師と写真館の息子が聞く告白。そこから事件関係者が集まり全貌が明らかになる。(無常風)
感想
最終章で、これほどまでに見事に断片を回収して、上手くスッキリと収める道尾さんは流石だと思う。これだからミステリはやめられない。
登場人物も言っていたけれど、あれがなければこうはならなかった。っという事象がいくつもあって上手いこと絡み合ってあの事件が起きた。起きた後も、事件解決に至るまで、見事だった。
偶然で済ませられないものがあって、小説だからこうも見事に噛み合っていくのだろうかと思ってしまう。
一見関係のなさそうな少年たちの日常から、事件に絡んだ証拠を見ていたり。
奈津美が恋した相手が火振り漁をする崎村だったのも。彼が事故に合うことも。
偶然ではないけれど、ひとつどれかが欠けていたら成り立たないことが起きるっていうことを表現した小説だった。
とびらの次に書かれている、コナン・ドイル「ジョン・ハックスフォードの告白」の一節
さらっと読み過ごしたけれど、読み終わってみて再度読み返すと感慨深い
何が些細な出来事かなんて、いったい誰が言えるのだろう?
うんうんと頷きたくなる